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青森のうまいものたち

100%そば粉の東通村「東通そば」(2019年9月)

東通そば

そばは青森県内で広く栽培され、各地域に根付いた様々なそばがあります。津軽地方で食べられる津軽そば、南部地方で食べられる階上そばや伝統料理であるそばかっけなど、青森県民には親しみのある食材です。
その中でも今回は、下北地方で親しまれている「東通そば」について、東通村役場のつくり育てる農林水産課農林振興グループ 上路一仁さんにお話を伺いました。

青森県下北地方にある東通村

東通村 地図

本州最北端の青森県下北半島の北東に位置する東通村は、面積約300平方キロメートル、人口は約6000人の自然豊かで広大な村です。村の大部分を山林と原野が占め、北は津軽海峡、東は太平洋に面し、むつ市、横浜町、六ヶ所村に隣接しています。
北東端には寒立馬の生息地として有名な尻屋崎があります。気候は、夏に太平洋から吹き付ける「やませ」の影響を強く受けることから、年間の平均気温が10度前後と、冷涼な気候となっています。

東通村で収穫されるそば

品種

そば畑

東通村では、キタワセという品種が栽培されています。
そばの栽培が始まった当初は、階上早生(はしかみわせ)を栽培していましたが、そばの実が大きくなる9月上旬ごろは、ちょうど台風が多くなる時期と重なり、強風に実の重さが耐えることができずに落ちてしまうことがありました。これに比べキタワセは、茎の長さがあまり長くならないため風雨に強く、9月下旬から収穫できます。東通村の天候に合わせ、階上早生からキタワセへ栽培する品種を変えていきました。

キタワセの特徴

キタワセは、ほかの品種に比べて一つ一つの実の個体差が少ないのが特徴だそうです。ほぼ同じタイミングで一斉に熟し、茶色く色づいたころに早めの収穫をします。東通村は1日の寒暖差が大きく、そばの実にはでんぷんが多く含まれ、味や香りが強いのも特徴です。

東通そば

つなぎを使用しない十割そば

十割そば

「東通そば」は、つなぎを一切使用しない100%そば粉を使用した十割そばなので、そば本来の風味豊かな香りを楽しめます。
そば粉だけでそばを作るには高度な技術が必要です。そば粉のたんぱく質全体の40%以上は水溶性であり、小麦粉と違ってグルテン形成(※)がありません。そのため、生地のつながりが悪く、麺を作りにくくなるのでつなぎとして小麦粉などを配合します。小麦粉の添加量によって、十割そば、八割そばなどと名称が変わります。
この十割そばを、東通村の方々は「煮置き」して保存しています。
※グルテン形成…小麦粉のタンパク質であるグルテニンとグリアジンが変質したものをグルテンといいます。水を加えて、こねることによって混合結合してグルテンを形成します。

保存にも役立つ「煮置き」

水とそば粉以外使用しない十割そばは、生のまま置いておくと崩れやすく、保存には向いていません。煮置きをする(一度茹でておく)と、麺が崩れず3日くらいまでは保存することができるそうです。「煮置き」は保存の工夫として取り入れられたとも言われています。

「東通そば」の味付け

各家庭や各店舗のつゆのだしは様々です。代々引き継がれている家庭の味があり、尻屋産昆布や鶏ガラ、煮干し、野菜、きのこなどを各々の分量で混ぜて作ります。温かいだしのかけそばがおすすめです。

東通村のそばが味わえるお祭り

“ひがしどおり新そば街道まつり”

十割そば

東通村にある蕎麦屋さんや、そば協議会のメンバーが中心となり、東通村各所で、秋の新そばをふるまう、“ひがしどおり新そば街道まつり”が開催されます。2003年から始まり、今年で16回目の開催となります。今年は6団体の参加です。
各地区の「東通そば」を味わえるよう、少なめの量のかけそば等が準備されています。毎年の来場数は約1万人前後となっており、県内をはじめ、県外から訪れる人も多く、東通村の人口をはるかに上回る来場者が、打ちたて、茹でたての新そばを楽しみます。

好評につき、“ひがしどおり新緑そば街道まつり”も開催

上路さんによると、新そば街道まつりが好評だったことから、7年前の2012年より、毎年5月上旬に行われる新緑そば街道まつりも始まったそうです。中には県外から訪れる方や、リピーターさんも多く、賑わいます。
“ひがしどおり新そば街道まつり”の時期についてはこちら(東通村 催しカレンダー)

“ひがしどおり新そば街道まつり”詳細

日程 2019年10月12日(土)13日(日)
時間 10:00~15:00
詳細 ポスターダウンロード

この秋の新そばを味わえる“ひがしどおり新そば街道まつり”、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか?

関連リンク

【旬の食材】青森県のそば(2010年12月)
【あおもりご当地食めぐり】青い森食のエリア「あおもり海道そば」


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