三方を海に囲まれた青森県では、海藻類も豊富に水揚げされています。
2~3月の極寒期、まさに今の時期に旬を迎えるのが、布海苔です。布海苔は、2月下旬~5月中旬に採取され、水の環境に影響されやすく、水の澄んだ海岸の岩に付着して生育する海藻です。
「布海苔投石事業発祥の地」である風間浦村で、特産の布海苔を「布海苔採り体験ツアー」の観光資源としても活用している、風間浦村役場の木村祐生さんにお話を伺いました。
本州最北端の村 青森県風間浦村
風間浦村は、青森県下北半島北西部の海岸線に位置した本州最北端の村です。
東西約20km、南北約8kmと細長い地勢で、東部と南部はむつ市に、西部は大間町に隣接し、北部は津軽海峡を隔てて北海道に面しています。
津軽海峡に面した土地は漁業が盛んで、古くから豊富な水産資源を中心とした漁業と、下風呂温泉を活用した観光により発展してきました。
布海苔投石事業発祥の地
風間浦村は、布海苔の養殖法の発祥の地でもあります。
さかのぼること明治初期頃、海産問屋だった佐賀平之丞(さがへいのじょう)は下風呂地区の港を整備するため山から石材を切り出し、村人たちの手によって捨石による護岸や防波堤工事を行いました。工事の翌年、平之丞は捨石におびただしい布海苔が着生しているのを発見。この出来事をきっかけに、投石による布海苔の養殖法を考案、確立させていきました。
これ以後、投石による布海苔の養殖法は、村内はもちろん、県内および全国で採用されています。これを記念した「布海苔投石事業発祥の地」の碑が、蛇浦地区にある布海苔記念公園に建てられています。
津軽海峡の荒波で育った風間浦村の布海苔
布海苔の生育に適した地形
風間浦村の布海苔は、津軽海峡の海岸沿いの磯場に生息しています。フクロフノリという種類で、体は中空の円柱状になっており、不規則に枝分かれしているのが特徴です。満潮時にすっぽり岩場が隠れる水位となる風間浦村の地形が、布海苔の生育にも適しており、あまり手をかけずとも育つのだそう。
布海苔の収穫
風間浦村では現在、約300軒の漁師が布海苔の収穫を行っています。
布海苔の収穫は2月下旬頃からはじまり、全て手摘みによって行われています。特に2月下旬から3月にかけて収穫される布海苔は生フノリとして出荷され、下北・上北地域のスーパーマーケットを中心に購入することができます。
その後4月から5月中旬まで布海苔の収穫は行われますが、この時期に収穫されるものは主に加工用として、乾燥フノリやつなぎに布海苔を使用するへぎそばの材料、さらには織物の天然糊材として食用以外にも出荷されています。
おすすめの食べ方
今が旬の生フノリ。味噌汁の具としても美味しいですが、木村さんのおすすめの食べ方は、天ぷらです。地元の人たちはよく天ぷらにして食べるそうです。パリパリの食感と、布海苔の塩気と少し砂糖を入れた衣の相性が抜群。
また、右の写真のように、ホタテの貝殻を鍋のように使う「貝焼き」の具にしても美味しくいただけます。
ラーメンにも
風間浦村の下風呂温泉郷にあるあさの食堂では、特産の布海苔を使用した“ふのりラーメン” を食べることができます。通年食べることができますが、旬の時期には、生フノリがトッピングされています。
特産を観光資源に「布海苔採り体験ツアー」
風間浦村では、実際に磯場で岩に張り付いている布海苔を思う存分採り尽くすイベント、「布海苔採り体験ツアー」を開催しています。このイベントでは、下風呂温泉郷に宿泊して温泉を楽しみ、風間浦村の特産の布海苔採りを体験することができます。通常、漁業権がなければ布海苔を収穫することができませんが、このイベントでは実際に収穫した布海苔を持ち帰ることができ、リピーターが多い人気のイベントです。「布海苔採り体験ツアー」は、毎年2月下旬~3月上旬の期間、2回に分けて実施されています。(今年のイベントは終了しました)
「今後も、『布海苔採り体験ツアー』を続けていきながら、布海苔投石事業発祥の地として風間浦村の布海苔をよりPRしていきたい」と布海苔採り体験ツアー実行委員会も努める木村さんは話してくださいました。
購入できる場所
「産地直売所 ふのりちゃん」(4月下旬~11月上旬)
住所 | 〒039-4503 青森県下北郡風間浦村蛇浦字沢の黒18-1(地図) |
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営業時間 | 10:00~16:00 |
定休日 | 火、水、木曜日 |
詳細 | 青森のうまいものたち「産地直売所 ふのりちゃん」詳細ページ |
ほか県内各スーパーマーケット
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