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鶴田町収穫が始まった鶴田町の「スチューベン」(2019年10月)

スチューベン

「スチューベン」生産量日本一の鶴田町は、青森県津軽地域のちょうど中央に位置し、人口は約1万3千人。岩木山の麓へと続く道は田んぼや山林などの自然に囲まれており、町の中心部には岩木川が流れ、日本一長い木の橋「鶴の舞橋」がかかる「津軽富士見湖」を有する水資源が豊かな町です。そんな鶴田町で収穫時期を迎えている「スチューベン」。
生産量・作付面積が日本一の「スチューベン」とはどんなぶどうなのか?
鶴田町の「スチューベン」を広めようと活動している“つるたスチューベン日本一推進協議会”の事務局である鶴田町役場の須藤雄太さんにお話を伺いました。

ニューヨーク生まれの「スチューベン」とは?

「スチューベン」は、アメリカ合衆国ニューヨーク州のニューヨーク農業試験場で1947年に生まれたぶどうの品種です。日本では1952年頃導入され、気象条件が似ている青森県で試験栽培が開始されました。鶴田町では、1968年ごろから本格的な作付けが始まり、1972年には転作田を活用し、さらに生産が広がりました。
青森県でのぶどう栽培は、当初、「キャンベルスアーリー」という、日本に馴染みの深いぶどう(黒ぶどう)の品種が主体でしたが、徐々に「スチューベン」が認知され、鶴田町の栽培面積も伸びていきます。

なぜ鶴田町で「スチューベン」栽培が盛んに?

スチューベン 地図

青森県の中で、なぜ鶴田町で「スチューベン」が多く栽培されるようになったのでしょうか?それは、ニューヨーク州とほぼ同じ緯度(北緯40度)に鶴田町が位置しており、年間降水量や平均気温なども似ていることから、国境を越えてきた「スチューベン」が馴染むには絶好の場所だったのです。

また、岩木川や津軽富士見湖の水が昼間に溜め込んだ熱を夜間放出することで、気温が急激に低下するのを防ぎ、ぶどうを保護する働きがあることや、雪が冬の寒さから樹を守っていること、寒冷な気候のおかげで病害虫防除も最小限に抑えられることもプラスの効果をもたらしています。

糖度の高い「スチューベン」栽培のこだわり

鶴田町の「スチューベン」は、酸味が少なく、糖度が20度前後と高いのが特徴です。

栽培期間中の月ごとの平均最高気温と最低気温の差は8℃~10℃であり、昼夜の寒暖差が糖度の高さにつながっています。このほか、鶴田町独自の栽培方法と保存方法も大きく関係しています。

栽培方法

垣根仕立て
垣根仕立ての畑の様子

垣根仕立て超長梢剪定(ちょうちょうしょうせんてい)強摘心(きょうてきしん)と呼ばれる技法を組み合わせた、国内で唯一の「津軽式改良仕立法」を取り入れて栽培しています。

垣根仕立てとは、畑に杭を打ち、その間に針金を這わせる整枝方法です。一般的なぶどうの栽培に比べ、ぶどうが実る高さが低く、人間の胸の高さぐらいに実がなります。こうすることで、樹木の育成状態がよくなり、一房につく実の数が多くなります。

密集したスチューベン
強摘心により密集した果実

超長梢剪定とは、枝を1~3m残し、光合成により多くの養分を吸収させ大きい実を成らせる剪定方法です。木の枝の先が長すぎると、果実を成らせるよりも枝を伸ばす方に養分が取られてしまうため剪定します。大きな果実が成る枝を見極めて剪定する、非常に難しい技術です。

強摘心とは、開花前の葉の数を一般的な5枚ではなく4~3枚と少なくすることにより、着粒数を、一般的な平均数といわれる70粒から80粒に増やし、密度を高める方法です。また、実が密集することで、空気に触れる部分が少なくなり、乾燥を防ぐ効果もあることから、貯蔵性を高めることにもつながります。

保存方法

「スチューベン」の保存方法は、主に冷蔵貯蔵です。収穫後、有袋のまま冷蔵貯蔵することで湿度が保たれ、翌年の2月ごろまで味と鮮度を保ったまま出荷することができます。冷やして休ませることで、収穫時より酸味が薄れ、さらに甘みが増します。

「スチューベン」の魅力である糖度と貯蔵性の高さは、鶴田町の自然環境と丁寧な管理体制によって作られています。

“つるたスチューベン日本一推進協議会”

2014年、鶴田町の「スチューベン」をブランド化するために関係団体・生産者・地元市場などで“つるたスチューベン日本一推進協議会”が発足されました。
冬でも美味しく食べることができるぶどう、という新たな切り口で、地域ブランド「冬ぶどう・つるたスチューベン」の出荷・販売に関する統一基準やロゴマーク、PR方法等を含む総合的な販売戦略を策定し、東京都などでトップセールスを行うなど、ブランド化を図るための取組を展開しています。

地理的表示保護制度(GI)に登録

国が地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する「地理的表示保護制度(GI)」に、「つるたスチューベン」が登録されました。(平成31年3月20日 登録番号第75号)「つるたスチューベン」の特性である糖度の高さ、貯蔵性の良さや、鶴田町独自の栽培方法である「津軽式改良仕立法」が評価されています。「つるたスチューベン」の地理的表示への登録は、県内では4品目、ぶどうとしては日本で初めての登録です。

スチューベンまつりの様子
つるたスチューベンまつり
GI登録
GI登録の記者会見

全国各所で試食会・PR活動を行っていますが、活動当初は鶴田町の知名度や「スチューベン」自体の認知度が低く、鶴田町がどこにあるか分からない、「スチューベン」の美味しい食べ方を知らない人がほとんどだった等、壁にぶつかることが多かったそうです。
根気強くPR活動を続けていくことで「スチューベン」を購入してくれるリピーターが増えたり、催事などでブースに来てくれる人も増えてきた、という実感があり、今後も「スチューベン」の販路拡大や認知度向上に努めていきたい、と須藤さんはおっしゃっています。

「スチューベン」を美味しく食べるコツ

色が濃く(黒く)粒に張りがあり、表面にブルーム(果粉)と言われる白っぽい粉がついていて、軸がしっかりした「スチューベン」が美味しいと言われています。「スチューベン」の房先の粒が一番熟しやすいので、その果実に張りがあるものは鮮度がいい証拠!
最近は種なしぶどうが多く出回っていますが、「スチューベン」は種ありぶどうです。
「スチューベン」以外の果実にも言えることですが、「皮と果実の間にある果汁」が一番甘いのです。食べるときは、口の中の果肉を押し出して、噛まずに飲み込み、皮の内側にある果汁も吸います。これが「スチューベン」を一番美味しく味わえるポイントです。冷やして食べると、より甘みが強く感じられます。

問い合わせ先

steuben.jp スチューベン公式サイト

「スチューベン」を購入できる場所

店舗

名称 道の駅つるた 鶴の里あるじゃ
住所 青森県北津軽郡鶴田町大字境字里見176-1
TEL 0173-22-5656
Webサイト 道の駅つるた 鶴の里あるじゃWebサイト

ネットショップ

名称 農業法人 有限会社 津軽ぶどう村
ネットショップ 農業法人 有限会社 津軽ぶどう村Webサイト

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