青森県は三方海に囲まれ、また山・里にも豊富な食材がありますが、それらをさらにおいしくするために欠かせない「だし」について紹介します。
「だし」ってなあに
だしは、煮干しや昆布、しいたけなどの食べ物から水に溶け出た汁で、汁物や煮物には欠かせません。
水に昆布や煮干しなどを加え、うま味を引き出すことを「だしをとる」といいます。


「うま味」について
うま味は、私たちが自分の舌で感じることができる5つの基本の味の1つです。
【味の基本(5つ)】
① 甘味 ② 苦味 ③ 酸味 ④ 塩味 ⑤ うま味
うま味は、他の4つの味よりもあと味が長く続くため、おいしいと感じることができ、満足感を得ることができます。
うま味は、日本人が初めて見つけた味です。イノシン酸やグアニル酸などの核酸や、グルタミン酸などのアミノ酸がうま味の正体です。「イノシン酸」は煮干しなどに、「グアニル酸」はしいたけに多く含まれています。
うま味成分として初めて発見された「グルタミン酸」は、昆布などに多く含まれています。 動物系と植物系の2種類のうま味成分を合わせると、うま味が強くなります(うま味の相乗効果)。
だしの魅力

料理に「だし」を使うことで、次の3つのいいことがあります!
- 「うま味」が増えて、おいしくなる!
- 少しの塩分でも味がしっかりする。⇒ [減塩]
- 香りがよく、溶け出た素材の栄養がとれる。
青森県の主なだし素材
(1)焼干し

- イワシやアジを一度焼いてから、屋外で天日干しをして作られます。煮干しの5倍のだしが出ると言われており、"イノシン酸"と呼ばれるうま味が出ます。風味が強いのが特徴です。
- 産地:むつ市脇野沢、外ヶ浜町
- 陸奥湾で獲れるイワシを使った焼干しは、青森ならではのだしです。 1つ1つ人の手で丁寧に作っています。
(2)煮干し

- 煮干しは、イワシ・アジなどを原料に、保存食として国内に出回っています。
- 青森県は日本海・太平洋に面した漁業がさかんなエリアであり、厳しい吹雪にさらされる冬の保存食として、昔から重宝されていました。
(3)昆布

- 大間町や東通村が主な産地です。昆布の「うま味」は、「グルタミン酸」と呼ばれるもので、昆布の表面に付いた白い粒の正体が、この「グルタミン酸」です。昆布は、乾燥させたものからだしをとりますが、白い粒を洗い流してしまうとうま味が減ってしまうので、布やキッチンペーパーで軽く拭いて、使いましょう。
- 青森県で採れる昆布は、主に真昆布です。真昆布は、昆布の中でも最高級品と言われています。上品な甘みがあり、まろやかで澄んだ高級だしになります。 昆布には、人間にとって欠かせない栄養素であるミネラルやビタミン・食物繊維がたくさん含まれています。
- だしをとった後の昆布は捨てずに、料理に使うことができます。すぐに使わない場合は、3cm角ぐらいの使いやすい大きさに切ってから、ラップに包んで冷凍し、ある程度の量になったら、佃煮や昆布ふりかけなどにして、最後までおいしく食べることができます。
(4)しじみ

- 青森県はしじみの水揚げ量が日本一‼主な産地である2つの湖のうち、十三湖には世界自然遺産白神山地系、小川原湖には八甲田山系の豊かな森からミネラル豊富な水が絶え間なく注がれています。
- 濃厚な味わいのしじみ汁は、全国で食べられています。
(5)ほたて

- ほたては、陸奥湾が主な産地です。海水温が5~22度の海で育ち、ほかの貝と比べて身が大きくて厚いことが特徴です。ほたてからとった だしには、「コハク酸」と言われるうま味成分が多く、栄養豊富で、みそ汁のだしにするとおいしいですね!
- ほたてには、たんぱく質、カルシウム、鉄分など、たくさんの栄養素が含まれています。
(6)ごぼう

- 三沢市や東北町が産地で、青森県のごぼうの生産量は、日本一です。
- ごぼうのだしは、煮物や、うどん・そばなどのつゆによく合います。だしだけでなく、ごぼうそのものも食べることで、「食物繊維」が、おなかの調子を整えてくれます。
(7)しいたけ

- 十和田市などで作られています。
- しいたけのうま味は、「グアニル酸」と呼ばれるもので、生のしいたけからもおいしいだしがとれますが、乾燥した「干ししいたけ」は生のしいたけよりもさらに「うま味」が多く、だしをとる時にもうま味が溶け出しやすいです。
(8)サメ

- 青森県ではサメを食べます。お正月やお祝い事の、お吸い物の具や、煮しめにも多く使われており、良いだしが出る具材とされています。津軽地方では、戦後、そばのだしにサメを使っていました。また、県内の一部地域では焼いたサメを煮しめに入れています。
- 近年では、サメ節も青森県で作られています。サメ節は、かつお節よりも甘味が強く、少し酸味があるのが特徴です。
手間なし簡単!ワンポイントアドバイス

- 一度に多めにだしをとっておけば、冷蔵庫で1週間程度保存できます。 また、冷凍庫ではもっと長く保存できます。 すぐに料理に使えるから、まとめてとっても便利ですね!
- お好みの分量の煮干しや焼干し、昆布を1日ほど水に漬けて冷蔵庫に入れておくだけでも、だしをとることができます。
- 市販のだしパックを利用しても、簡単にだしがとれます。 ぜひ、家庭でもだしを取り、料理に利用していきましょう。
青森の郷土料理 ”けの汁” の作り方

青森県の郷土料理である「けの汁」は、様々な野菜などが入っていて栄養満点! しかも保存できるため、昔から津軽地方でよく食べられてきました。
《材料》(1人分)
大根 30g、〔にんじん、ごぼう、ぜんまい、わらび、ふき、ゆで金時豆 各10g〕、油揚げ 5g、だし汁 (こんぶだし)180ml、みそ 適量
《作り方》
- だし汁を作る。(けの汁は、昆布だしがよく使われています)
- 具を切る。(金時豆以外の材料を5mm角(さいの目)に切る
- 煮る。(鍋にだし汁を入れ、2. で切った具材入れて火にかける。具材が柔らかくなったら、茹でた金時豆を加えて、みそで味つけをする)