日本一の菜の花畑
陸奥湾に面した横浜町では、5月になると日本最大級の菜の花畑が咲き誇り、黄色いじゅうたんを敷き詰めたように、あたり一面が黄色に染まります。横浜町のなだらかな丘に広がる菜の花は、観光向けとしてだけでなく、農家の換金作物として作付けされています。
無農薬栽培された菜の花は、町に観光客を呼んでくれるほか、安心・安全な“なたね油”や“はちみつ”などの特産品を生み出してくれます。
体に優しい、貴重な国産なたね油
日本でもっとも多く生産され、消費されている植物油は“なたね油”と知っていましたか?なたね油は、クセがなくあっさりしているので、家庭用サラダ油、マーガリン・マヨネーズなどの加工品、外食産業での揚げ物・炒め物メニューの調理用油として幅広く利用されています。(社団法人日本植物油協会HP参照)
写真1960年代頃には、全国各地に菜の花畑が広がり、菜種(なたね)の国内自給率は100%でした。その後、海外からの安価な菜種の輸入が増加し、その面積は激減。現在では、青森県・北海道・鹿児島県が主産地となっていますが、菜種(なたね)の国内自給率は1%にも満たない状況です。
私たちがよく使っているなたね油は、外国産菜種を原料としているため、国産菜種だけで作った“なたね油”は、今では大変貴重な油になっているのです。
横浜町では、日本最大級の作付面積を生かし、エルシン酸(過剰に摂取すると心臓障害を引き起こすといわれる脂肪酸)を含まない品種「キザキノナタネ」を無農薬栽培し、上質の純国産なたね油を作っています。もちろん原料は地元産の菜種ですので、安心・安全で体に優しい油と言えるでしょう。
なたね油の効能
なたね油は、血中コレステロールのうち悪玉コレステロールだけを取り除き、血液をサラサラにすることで知られるオレイン酸を豊富に含みます。さらに、オレイン酸は酸化しにくいため、体内で過酸化脂質を作りにくいといわれています。
菜の花畑から生まれた色々なおいしいもの
純度100% 香りがよく味が濃い「生」菜の花はちみつ
菜の花はちみつは、他のはちみつと比べてブドウ糖が多く含まれているため、採取直後から結晶化が始まり、4~5日ほどで完全に結晶化してしまいます。体に良いとされる消化酵素のひとつである「ジアスターゼ」が豊富に含まれていますが、熱に弱く加熱すると約40%も減少、ビタミン類も熱を加えることで減ってしまうため、横浜町では「生」でお届けすることにこだわっています。
人気商品!菜の花ドーナツ
JA横浜町女性部に所属する約20名の女性たちが作る加工品の中でも一番人気は、8年前から作っている「菜の花ドーナツ」(5個入り265円)。 生地にペースト状の菜の花を混ぜ込んだもので、道の駅で1日に3000~4000個も売れる人気商品です。人気の秘密は、ほのかな甘みと中を割ると出てくる鮮やかな緑色かも。「菜の花ドーナツ」の揚げ油には、地元産のなたね油を使用しているので、油を気にする方にもおススメです。
菜の花を使った色々な商品
「春待茶」は香ばしい香りと飲みやすさが特長の、菜種を焙煎して抽出したお茶。
ほかにも、町のシンボルである菜の花を使った色々なオリジナル商品があります。
菜の花畑を広めよう!
日本最大級の作付面積をもつ横浜町でも、最盛期には750ヘクタールあった菜の花畑は年々減り続け、現在では110ヘクタールほどになってしまいました。こうした背景には、町からの人口流出や農家の高齢化と後継者問題、そして安い外国産の輸入などがあり、町のシンボルである菜の花畑の存続すら危ぶまれるようになりました。
そこで、2002年、町に住む人々によって「菜の花トラストin横浜町」が発足され、一口3500円で会員を募り、横浜町の菜の花を守り育てて行こうとする市民運動が始まりました。会では、作付面積を拡大していくため、少しでも高く菜種を買い取るなど、作り手(農家)を応援しています。
今では町民を含め、全国各地から300口以上の申込みがあり、その数は年々増えているそうで、菜の花畑も少しずつ広がりをみせています。(会員には、農業体験活動や幻想的な夜観菜会(やかんなかい)の案内のほか、会員自らが作り上げたなたね油を贈っています。)
イベント情報
毎年恒例となっている横浜町の「菜の花フェスティバル」。当日は、菜の花マラソン大会をはじめ、菜の花畑を利用した大迷路、特産品即売会などのイベントが催されます。
リンク
産地直売所 道の駅よこはま「菜の花プラザ」
青森が味わえるお店 レストラン「鮮菜」(道の駅「よこはま」内)