9月になると青森県民のソウルフードと言ってもいいほど県民に愛されている「毛豆」の収穫が始まります。
今月はこの「毛豆」を愛して止まない生産者と毛豆の産地をご紹介します。
青森県の「毛豆」とは?

「毛豆」は青森県の在来と言われている枝豆です。
【収穫時期】
●9月中旬~10月上旬が一般的
夏にビールと枝豆、という一般的な枝豆のイメージと異なり、9月中旬頃が収穫が始まるとされています。
【どんな枝豆?】
●上品な甘みの栗のような大粒枝豆
茶豆のような香りは無いものの、豆は大きく栗のような濃厚な味わいと上品な甘さがあり、他の枝豆にはあまり見られない魅力があります。
【見た目は違うの?】
●毛深くて莢も大きめの枝豆
莢に金茶色のフサフサした毛がたくさん生えています。一般的な枝豆は莢に毛が少なくなるように改良されているのに対し、毛豆はとても毛深いです。草丈も一般的な枝豆と比べて背丈が大きくワイルドな印象です。まさに枝豆の原種と言ってもいいほどの見た目です。
毛豆が大好きな生産者‟長内 将吾さん
山野地がない平野で陽当たりが良い青森県板柳町。この地域で毛豆を栽培する長内農園 長内将吾さんをご紹介します。

長内さんが毛豆を栽培する理由
もともと実家を離れ、調理師をしていた長内さん。実家に戻った際に、おばあちゃんがお酒のおつまみに毛豆を出してくれたそうです。
その時に飲んでいた日本酒にとても合い、毛豆を食べる手が止まらなかったそうで、もともと毛豆は知っていたものの、そこから毛豆にハマってしまったと言います。
その後、もともとりんご兼、米農家である実家に戻り、生産者となった長内さんはすぐに、毛豆を栽培することに決めました。
栽培の工夫と挑戦


長内さんが毛豆栽培を始めた当初2反(20×20m)ほどの面積だった畑を、今では毛豆だけで2町(200×200m)もの面積を作付けしています。短い旬の毛豆が、なるべく旬の美味しさそのままに食べられるよう工夫し冷凍保存方法のテストを繰り返してみるなど、毛豆愛が非常に深く、地元板柳町の飲食店さんに毛豆を提供し、地元ならではの料理を開発してもらうこともしています。
毛豆愛も高じて長内将吾さんは、農薬不使用で効率化も図り毛豆を生産する生産者の会“いたや毛豆研究会”の会長を務めていて、産地と化している板柳町の特産にすべく生産や出荷、ブランド化に取り組んでいます。
一般的な枝豆よりも草丈が大きくなる毛豆は、晩夏から秋に変わるときの不安定な天候や台風などで倒れてしまう可能性があるため、取材時、長内さんの畑では写真のように倒伏防止策が施されていました。毛豆1列に対して、両端に杭を1本ずつ打ち、ヒモを2本張らせて毛豆を挟み込み、倒伏を防ぐ作戦です。これも栽培後期の栽培の大切な工夫の一つです。
毛豆の産地‟板柳町”

長内さんが毛豆を栽培している板柳町は、昔から「毛豆」を栽培していて“いたや毛豆研究会”という生産者団体があります。
津軽平野のほぼ中央に位置する板柳町(いたやなぎまち)は、枝豆の栽培に最適な砂壌土に恵まれ、板屋野木村(いたやのきむら)と呼ばれていた時代から粒が大きく甘みの強い枝豆が育つ環境にあると言われていました。
「毛豆」は旬が短く、需要が高まる時期から遅れて収穫されることもあり、これまで販売されることは少なく各自家用として作り続けられてきました。そのため、これまでは産地と言われる地域はなかったものの、板柳町の他にも、田舎館村、中泊町、鰺ヶ沢町など毛豆産地が増えてきています。
毛豆のイベント

一番おいしい毛豆の旬(9月中旬~10月上旬)に、生産者がこだわって作った毛豆を食べ比べ、順位を決める「最強毛豆決定戦」。
青森県津軽地方で愛される晩秋の味覚‟毛豆”。皆さん口を揃えて「うちの豆が一番うまい!」と口をそろえて言うことから、「では一番美味しい毛豆を決めよう」と始まったのが「最強毛豆決定戦」です。
青森県民が愛して止まない毛豆を世の中に広く知らしめることと、在来種であることから、作り手や産地、環境によって品質にバラツキがある毛豆の中でもポテンシャルの高い毛豆を見けることなどの目的を持ち、始まったイベントです。
2018年で6年目の開催となり、毎年14~20人の生産者が自慢の毛豆を出品、毛豆が好きで食味審査をしたいと集まる約80人の審査員で行われます。
開催日:9月21日(金)
時間:18:30~
※イベントのご参加は事前のご予約受付された方に限ります。
青森毛豆のお問い合わせ先
名称 | 青森毛豆研究会 |
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住所 | 青森県弘前市百石町38-1 |
Web | http://www.kemame.jp/ |
名称 | いたや毛豆研究会 |
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住所 | 青森県板柳町福野田本泉34-6 (板柳町農産物直売「とれたて市」) |
TEL | 0172-73-3293 |