マコモは、中国や東南アジアに広く分布しているイネ科の多年草。日本でも、『古事記』や『万葉集』などにその名が登場します。
マコモの根元にできる肥大した茎や芽の部分「マコモタケ」は、中華料理などに使われる高級食材です。低カロリーで、食物繊維、ミネラルなどが豊富なことから健康野菜として注目されています。
腸内環境を整え、デトックス作用も
マコモタケは、100グラムあたり21キロカロリーと非常に低カロリーですが、たんぱく質、食物繊維、カリウムなどのミネラル、ビタミンなどが豊富に含まれています。
食物繊維は腸内環境を整え、便通を良くする効果があります。また、カリウムは、肝臓の老廃物を排出してむくみを取ってくれるといわれ、利尿作用の効果から体内の不要なものを排出してくれるデトックス作用も期待されています。
安心・安全なものを届けたい! 農薬未使用、化学肥料不使用で栽培
板柳町でマコモの栽培を行っている、NY農園の成田洋剛さんを訪ねました。約10アールの水田では、2メートル以上に成長したマコモがさわさわと風に揺れています。
成田さんの農園では、化学肥料は一切使用せず、有機肥料を使って栽培しています。また、農薬未使用栽培にこだわり、除草もすべて手作業で行っています。
「16年ほど前に、板柳町と友好協定を結んでいる中国・北京市昌平区から苗を譲り受け、水田転作作物として町内での栽培が始まりました。
これは、『一点紅』という品種で、板柳町が日本で初めて導入した品種です」と、マコモタケを指差す成田さん。
10年ほど前には町内で10軒ほどだった生産者は、今は2軒のみとなりましたが、全国的に根強い人気があり、毎年、関西方面からも購入希望が寄せられるといいます。
生でも加熱してもOK! 和洋中の料理に合う万能野菜
マコモタケの収穫は、9月下旬から10月下旬にかけて。水田に入り、1本ずつ鎌で刈り取っていきます。「熟してくると、皮がこんなふうに裂けてくるんです。これが収穫の適期。生でも食べられますよ」。
そう言って、成田さんは、緑の皮をむいて白い部分を手渡してくれました。ポリっとかじると、アスパラのようなタケノコのような歯ざわりで、ほのかな甘味が広がっていきます。
「油と相性がいいので、天ぷらが一番のオススメです。ほかには、きんぴらや煮物、炊き込みごはんなど。味にクセがないので、どんな料理にも合いますよ。アク抜きなどの手間もいりません」。
「生でサラダにしてもおいしいんですよ」と、スライスしたマコモタケとりんごの紅玉、水菜を、マヨネーズと塩こしょうで味付けした特製サラダを味見させてくれました。シャキシャキした食感と、さっぱりした風味がくせになる味です。
さらに、細めのマコモタケをアルミホイルに包み、目の前で焼いてくれました。焦げ目のついた皮を手でむき、アツアツをほおばると、生よりもさらに甘みが増し、とろけるような極上の食感です。オーブントースターで焼く時は、アルミホイルで包まずに10分程度焼くのがおすすめだそうです。
6次産業化にも挑戦
マコモタケは、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てて保存すれば、1週間ぐらい日持ちします。しかし、硬くなると味が落ちるので早めに食べるのがおすすめです。
また、成田さんは、自分で栽培したマコモタケを使って、水煮や佃煮、甘酢漬けなどの6次産業化にも取り組んでいます。加工品は日持ちがすることから、お土産品としても好評です。
若い人につないでいってほしい!
成田さんは、「マコモタケは優れた健康野菜。多くの方に召し上がっていただきたいし、ぜひ、若い人につないでいってほしい」と、語ります。「栽培作業はきついですが、その分、収入もあります。リピーターも多く、お米の5、6倍は稼げるので、SNSなどを使って発信しながら、若い人がつなげてくれたらうれしい」と、語ってくれました。旬のマコモタケをぜひ味わってみませんか。
マコモタケと加工品を購入できる場所
板柳町ふるさとセンター内 産直施設「とれたて市」(※生のマコモタケの販売は10月末まで。なくなり次第終了)
今回お話を伺ったのは
NY農園
成田 洋剛さん