はれわたり

ヤマセも2023年の酷暑もクリア!
米農家待望のお米「はれわたり」

はれわたるところ

全国トップクラスの生産量を誇る、ながいも、にんにく、ごぼうなどの産地として知られる青森県上十三地域。赤石(あかいし) 義周(よしのり)さんは、青森県上北郡六戸町で、お米とにんにくの栽培に取り組んでいます。

2022年からは、「はれわたり」の栽培をスタート。米農家として、実際に栽培して感じたこと、2023年に全国デビューした今、「はれわたり」に期待することなどを伺いました。

自分たちも食味の良いお米づくりに挑戦してみたい

青森県上北郡六戸町 米農家 赤石 義周さん
米農家 赤石 義周さん

赤石さんは、米農家の3代目。現在は、両親と妻の4人で、お米(23ヘクタール)とにんにく(1.2ヘクタール)を栽培しています。以前から、まっしぐらや飼料用米などを栽培していましたが、2022年からは、新たに「はれわたり」の栽培を始め、2年目となる2023年は、70アールで取り組んでいます。

そんな赤石さんには、青森でお米づくりを行う米農家の1人として、数年前からある想いがあったといいます。

「『青天の霹靂』は、青森県を代表する全国ブランドのお米として知られていますが、作付が津軽地域に限定されているため、それ以外の場所では栽培できない状況にあります。品種の特性などから、栽培が適した地域に限定されるのは仕方がないことですが、その一方で、毎年、『青天の霹靂』が特A評価を受けるたび、うらやましい…自分たちも県外で認知される食味の良いお米づくりに関わってみたい…という思いがありました」。赤石さんは、「はれわたり」が誕生する以前の胸中を振り返ります。

高温でも胴割粒が
ほとんど発生しない頼もしいお米

赤石さんは、これまで、地方独立行政法人青森県産業技術センター農林総合研究所から依頼を受け、さまざまなお米の品種比較を行う試験栽培に協力してきました。同研究所では、委託している県内各地域の農家の田んぼに稲を植え、出穂期や収量・食味・品質などさまざまな特性を調査しています。各地域での調査結果をもとに、県内で安定的に栽培できるかどうかを判定し、将来、青森県の主力となる品種候補を選定していきます。

交配作業
田植えの様子

赤石さんの田んぼがある上十三地域は、オホーツク海高気圧から吹き出す冷たく湿った東風「ヤマセ」の影響で、夏も低温が続くことがあります。

「長年、この地で米づくりを行ってきましたが、何より『ヤマセ』に強いことが絶対条件でした。しかし、近年の温暖化により、私たちが住む地域でも夏場に高温が続くようになり、『胴割粒』の発生が課題になっていたんですよ」と、赤石さん。
米の等級は、検査機関の等級検査によって1等米から規格外までのランクに分けられます。この時、胴割粒が混じっていると等級が下がり、その結果、農家は収入減につながってしまいます。
また、家庭でごはんを炊いたときも、胴割粒が多いとごはんがべちゃっとしたり炊きムラができるなど、そのお米本来の味や食感が損なわれてしまうこともあります。

ほ場での観察
ほ場での観察

赤石さんは、お米の試験栽培に協力するなかで、「はれわたり」は、耐冷性に優れているだけでなく、胴割粒が少ないという特性を兼ね備えており、さらに「いもち病」にも強いということを知ったといいます。

「おいしさに加えて、そんな魅力的な特徴をもったお米なら、私たち農家にとっても頼もしい存在になる!」と思い、2022年から栽培を始めました。

「2023年は、記録的な猛暑が続いた年。8月の出穂期に高温が続くと胴割粒が発生するため、毎日、気が気ではなかったですね。例年であれば、朝、田んぼに水を入れて夕方には水を止めるんですが、高温期は24時間かけ流し状態。常に田んぼに冷たい水を入れて水温が上がらないように管理したんですよ。それでも、他の品種は胴割粒が発生したんですが、『はれわたり』だけはほとんど被害がなかったんですね。今年の猛暑を経て、あらためて『はれわたり』の栽培・管理のしやすさを実感し、頼もしいお米だと感じているところです」。

コンバインでの収穫の様子
コンバインでの収穫の様子

我が家のごはんのおともは
「にんにく味噌」と「ごぼうの醤油漬け」

赤石さんは、今年、収穫した「はれわたり」を友人・知人に配ったところ、「軟らかくて食感も良い」、「甘味もあってすごくおいしい」と、大変好評だったといいます。
全国各地、それぞれの土地によって、郷土の特産品や食文化に根付いた「ごはんのおとも」がありますが、赤石さんによると、「はれわたり」は、適度な粘りがあって食感が良いので、どんなおかずとも相性が良いお米だといいます。

「我が家では、畑で収穫したにんにくを自家製味噌で炒めた『にんにく味噌』が、ごはんのおとも。細いごぼうを醤油と調味料で味付けした『ごぼうの醤油漬け』は、ごはんと相性抜群で、ポリポリした食感と風味が炊き立てごはん何杯でもいけますね」。

熱々のごはんの湯気の向こうに並ぶ、オール六戸のごはんのおとも。そして、それを囲む家族の笑顔。米農家にとっても作りやすい「はれわたり」は、家族みんなに「おいしい」笑顔を運んでくれます。

「おいしい!」の声が何よりの励み!

赤石さんは、これまで何度か「青天の霹靂」を栽培している津軽地域の農家の皆さんとの交流を通じて、お話を聞く機会があったといいます。

「『青天の霹靂』の生産農家は、『このお米で全国に打って出たい!そして、自分たち青森のお米の素晴らしさをもっと伝えたい!』という情熱にあふれていて、私は、『そういう想いを抱いて取り組んでいるのか…』と、とても刺激を受けたんですね。『はれわたり』は、県南地域の農家にも可能性が広がったので、さらに青森のお米を広くPRできると感じています」。

コンバインでの収穫の様子

農家にとって一番うれしいのは、自分がつくった農産物が消費者に「おいしい」と喜ばれ、多くの人を笑顔にできること。「『はれわたり』が全国デビューして以来、とても好評だと聞くと、私たち農家にとって何よりの励みになりますね。来年は、『はれわたり』の栽培面積をもっと拡大する予定です。今後もますます技術を磨き、青森のおいしいお米を届けていきたいと思っているので、ぜひ、1人でも多くの方に『はれわたり』を知ってもらい、召し上がっていただきたいですね」と、赤石さんは力強く語ってくれました。