青森県自慢の地酒特集
青森県といえばりんごなどの果物や、マグロなどの海の幸を思い浮かべる方が多いはず。実は日本酒造りにも力を入れており、杜氏や蔵人のみならず、農家や研究者などが一丸となって地物にこだわって日々研究に励み、青森の魅力を伝えるべく酒造りに精を出しています。ここでは、そんな青森の日本酒づくりの秘密に迫ります。青森の日本酒の特徴や酒造りの技術、この記事のキーワードとなる「地産地消」について、さらには青森の日本酒に合う青森料理レシピもまとめてご紹介します。青森の日本酒の魅力に存分に触れられること間違いなしです!
INDEX

青森県の地酒の特徴
青森県には17の酒蔵があり、その多くは津軽エリアと南部エリアに点在しています。エリアごとに仕込み水や気候が違うため、バラエティ豊かな味わいのお酒を生む一因になっています。きりっとした辛口のものからフルーティなお酒、さらには昔ながらの製法である生酛(きもと)づくりのお酒など様々あります。青森の日本酒を集めて、飲み比べをしてみてはいかがでしょうか?きっとお気に入りのお酒が見つかります!
※生酛(きもと)づくり・・・自然の乳酸菌の力を利用して酵母を育て、それを使って作られたお酒のこと
2025年6月20日に「青森県の清酒」がGIに指定されました!
GIとは、特定の産地で、定められた原料と製法でつくられたことを証明する、いわば品質と信頼の証です。今回は、13社27銘柄が認知されました。青森の風土と、そこに根ざした酒蔵の技が育んだ「GI青森」。その豊かな味わいは、食卓を彩るだけでなく、青森の文化そのものを伝えてくれることでしょう。青森の誇りが詰まった一杯を、ぜひ味わってみませんか。
農閑期に育まれた酒造りの技術
①古くから農家の人に支えられてきた青森の酒造り!
酒造りは、蔵人※1が行うことが一般的ですが、青森では農家の方々が農閑期※2に蔵人として働き、酒作りをしていたそうです。現在でもりんごや米などを育てる農家の方が、冬になったら酒作り!というのも珍しくないそうです。
②津軽杜氏と南部杜氏が青森の酒造りを支えてきた!
酒作りに欠かせない存在の「杜氏」(とうじ)は、「杜氏が変われば酒の味も変わる」と言われるほどの、いわば酒作りの最高責任者です!そんな杜氏にも流派があるそうで、青森では主に「津軽杜氏」と「南部杜氏」が活躍しています。それぞれが得意なアプローチや独自の製法を持っており、それらとその土地の個性が、杜氏という匠たちの手によって、一本の酒に凝縮されています!
※1 蔵人・・・杜氏(とうじ)の下で日本酒造りに従事する職人
※2 農閑期・・・農業の仕事が減る時期のこと
青森の地酒が美味しいワケ~地産地消~
青森の日本酒のおいしさは、豊かな「水」や多彩な「気候」、そして実力ある杜氏といった「人」の力に支えられています。さらに原料にも徹底してこだわり、「青森オリジナル」の米や麹を数多く使用しています。国内の有名な銘酒の多くが他県産の米や日本酒協会提供の麹を使う中、青森は地産地消にこだわり、独自の味わいを追求しています。日本酒好きならきっと「そこまでこだわるの⁉」と驚く、青森ならではの美味しさと探求心に迫ります。
①青森オリジナルの酒米
華吹雪、華想い、吟鳥帽子といった青森県で育成された日本酒造りに適した米(酒造好適米)から、華やかなお酒からすっきりしたお酒まで、上質で多様なお酒が作られています。
②青森オリジナル酵母
酵母は、日本酒の味わいや香りに大きく影響します。このオリジナル酵母は、青森の酒米に合わせて開発されているものもあるというこだわりぶりです!こちらも香り高いお酒に仕上がるものから、バランスがとれたお酒に仕上がるものまで揃っています。
③オリジナル麹「ゴールドG」
麹も日本酒の味や香りを構成する大事な要素の一つです。青森県ではこの麹もオリジナルのものを開発しました。オリジナル麹「ゴールドG」は、青森の酒米の王様と言われる「華想い」を使い、「高級酒」に合うように作られています。この麹ができてから、原料・微生物全て青森県の香り高いハイグレードな日本酒が作れるようになりました!さらに「改変ゴールドG」、「プラチナゴールドG」と改良も進められており、青森県の酒造りにかける熱い思いが伝わってきます!
酒米や酵母、麹について詳しく知りたい方は、下のリンクから詳しい情報をぜひお読みくださいね。
青森県ならではの自然を活かしたユニークな日本酒造り
オール青森の日本酒が作れるほど、日本酒の研究がさかんな青森県。椿や桜から取れる酵母の研究や白神山地や八甲田で取れた乳酸菌を使った生酛づくりの研究も行われています。乳酸菌を使った日本酒については、青森の4つの酒蔵が「NEW酸菌」と称した酒を作り、限定販売しました。今後も日本酒の新しいチャレンジに注目です!
青森県を代表する日本酒
地元のものにこだわり、その魅力を発信し続ける青森の酒造り。それぞれの酒蔵がプライドを持って作ったお酒は多岐にわたります。
青森の日本酒造りを深く知ると、飲む側の私たちも、「どんなお米・酵母・麹を使っていて、米はどれだけ削っているか?」など、思わずこだわりを語りたくなるほど。新酒やにごり酒、ひやおろし、生酒などの時期限定のお酒も見逃せません!みんなでお酒を持ち寄って飲み比べすれば楽しく日本酒を味わえます。青森の日本酒の中からあなたのお気に入りが見つかりますように!
- 関乃井酒造
- 本州最北の酒蔵。食事がより美味しくなるお酒を大切にし、糟しぼりによる手作業でしっかりとした味のある辛口のお酒を醸す。代表銘柄は「関乃井」「北勇」「寒立馬」。
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- 盛田庄兵衛
- おだやかな風味の高瀬川の伏流水を使って、青森県産の米で仕込んだ日本酒は雑味のない繊細な味。代表銘柄は「朔田」「駒泉」。
- 公式HP
- 鳩正宗
- 全国新酒鑑評会金賞受賞歴あり。米の旨みを出すように心がけ、「旨口の酒」を念頭において、日本酒を造り続ける。主な銘柄は「八甲田」「鳩正宗」
- 公式HP
- 八戸酒類 五戸工場
- ヤマセの厳しい中で、蔵の井戸から湧き出る清らかで豊富な軟水を使用し、寒い時期に醸造を行っている。目指しているのは「五戸の旨し酒」(ピュアで端麗で旨みがあり喉越しのよい酒)。主な銘柄は「如空」
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- 桃川
- 南部杜氏自醸清酒鑑評会にて、全国で唯一連続75回受賞を誇る蔵。にごり酒と青森のりんご使ったリキュールも人気。主な銘柄は「桃川」「杉玉」
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- 八戸酒類 八鶴工場
- 全国燗酒コンテストで金賞受賞歴(2022)を持つ。この蔵発祥と言われる「10号酵母」と青森の米を使い、香り高い日本酒を醸す。主な銘柄は「八鶴」
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- 八戸酒造
- 青森の素材にこだわり、2021年度世界酒造ランキング1位を獲得。その他にも数々の賞を受賞。最近は「入手困難酒」と言われるほどの人気がある。主な銘柄は「陸奥八仙」
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- 西田酒造店
- 米の旨味を最大限に引き出すことを追求した、昔ながらの手造りによる純米酒を醸す。世界一の酒を決める「sake competition 2025」で1位を獲得。主な銘柄は「田酒」「喜久泉」
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- 鳴海醸造店
- 少しでも津軽を知ってほしいと津軽の素材にこだわり、やわらかくすっきりとした日本酒を醸す。女性にもおすすめ。主な銘柄は「菊乃井」「稲村屋」
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- 中村亀吉
- 津軽を代表する地酒を醸す蔵。口当たりがやさしく、コクがあり、まろやかな味わいが特徴。食中酒におすすめ。主な銘柄は「玉垂」「亀吉」
- カネタ玉田酒造店
- 250年以上の歴史を持つ弘前の伝統ある酒蔵。やわらかな口当たりで、食べ物の味を引き立てる。主な銘柄は「津軽じょんから」「華一風」
- 三浦酒造
- 国内唯一の「豊盃米」で酒を醸す蔵。フレッシュで、蜜がたっぷりの甘さとほのかな酸味の、津軽のりんごのような味わい。主な銘柄は「豊盃」
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- 六花酒造
- 「杜萊」という名でフルーティな香り、しっかりした旨味、スッキリした後味、さわやかな酸味など豊富なバリエーションの日本酒を醸す。白神山地の乳酸菌も使われる。
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- 松緑酒造
- 酒母作りをしていた歴史を持つ。その技を活かし、白神山地系岩木山の湧き水と津軽平野で育まれた良質米を原料に丁寧に酒を醸す。主な銘柄は「刑事」「六根」
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- 白神酒造
- 青森の米にこだわり、自社栽培した米も使用。山廃造りをメインに自然を生かしたお酒を醸す。主な銘柄は「白神」「山助」
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- 尾崎酒造
- 藩政時代から長年続く伝統技術による製法を守り、白神山地の湧水で酒を醸す。すっきりした酒や旨味あふれる酒が魅力。主な銘柄は「安東水軍」「神の座」
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- 竹浪酒造
- 代表銘柄は「岩木正宗」と「七郎兵衛」。特色豊かな青森県の地酒の中でも個性派と言われています。色が濃く、芳醇かつキリリとした辛口のお酒は燗をつけていただくのがおすすめです。
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りんご味の日本酒!?
青森県の特産品といえば、やっぱりりんご。青森県の酒蔵では、まるでりんご?!のようなフレッシュな味わいの日本酒を作る蔵もあります。りんご酸をたくさん出す酵母を使うことでその味を実現しているとか。りんごのような日本酒を試してみたい方はラベルをチェック。そして飲む時はぜひワイングラスを。グラスの中からふわりとりんごの香りが広がります。青森らしい日本酒をぜひお試しください!

作ってみよう!地酒と楽しみたい青森レシピ
かつて日本酒は「料理の邪魔をしない酒」が良しとされてきました。しかし近年はワインの世界で使われる「ペアリング」や「マリアージュ」の考え方が、日本酒にも広がっています。青森が誇る日本酒は、地元の食と抜群の相性です。ペアリングで互いを引き立て、新しいマリアージュを生み出す…そんな味わいをぜひ体験してください。
おうちで青森の地酒を楽しもう!
魅力いっぱいの青森の地酒。味わいの異なる日本酒を取り寄せて飲み比べをしてみませんか?原料・微生物全て青森県産で作られた日本酒はもちろん、ワイン酵母で醸したものや、りんごとコラボしたリキュール、食用米で醸した珍しいものまでご紹介しています。お気に入りの一品がきっと見つかります!ふるさと納税の返礼品になっているお酒もあるので、ぜひ注目してみてくださいね。
【コラム】地酒には地のものを
地酒に地元の食材が合わないわけがありません!スイーツやフルーツ、魚介類やお肉、やさいなど、「青森のうまいもの」に「青森の地酒」を合わせてベストマッチを見つけてみてはいかがでしょうか?青森の日本酒と一緒に取り寄せたい「青森のうまいものたち」もぜひあわせてご覧ください。
