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産地情報 ~2023年7月デビュー。新ブランドかぼちゃ「新時代」
“海と大地が織りなすストーリー”~ (2023年9月)

2023年7月デビュー。新ブランドかぼちゃ「新時代」<br>“海と大地が織りなすストーリー”

今回、ご紹介するのは、2023年7月に市場デビューした下北半島のむつ市にある農業生産法人下北カンブリア農場株式会社が栽培する新ブランドかぼちゃです。青森の豊かな海の海藻資源を土づくりに生かし、地域の農業を次世代へつないでいきたいという想いを込めて開発。その名も「新時代」です。

一株一果採りの栽培方法に改良を重ねて

青森県の下北地域や今別地域では、夏季冷涼な気候を生かしたかぼちゃの生産が盛んです。一般的にかぼちゃは、1株から複数個の実を収穫しますが、この地域で栽培されているかぼちゃは、親づるに実を1個だけ残し、他の実はすべて摘果します。そのため、1個の実にうま味と甘味が凝縮し、大変おいしいかぼちゃになります。

「新時代」は、この栽培方法に改良を重ねて2023年に市場デビューしました。命名は、宮下宗一郎青森県知事です。

2023年に市場デビュー「新時代」
2023年に市場デビュー「新時代」

青森県が生息面積日本一を誇る海藻「アマモ」を肥料に

「新時代」の開発・生産に取り組んでいる、下北半島のむつ市にある農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」を訪ねました。

「長年、生産部会の仲間たちと一緒に一株一果採りのかぼちゃの栽培に取り組んできましたが、さらに消費者の方に喜んでいただけるかぼちゃを作れないだろうかと考え、開発したのが『新時代』です」と、語る同社の常田嘉一郎社長。開発にあたっては、ベースとなる土づくりに重点を置いて取り組んだといいます。

農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」常田 嘉一郎 社長
農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」常田 嘉一郎 社長

海に囲まれたむつ市は、海藻資源が豊富なことでも知られています。特に、青森県が生息面積日本一を誇る海草「アマモ」は、小魚や甲殻類などの棲みかとなる「海のゆりかご」として重要な役割を果たしています。また、光合成により二酸化炭素を吸収して酸素を作るなど、地球環境にとっても大切な植物です。

アマモを乾燥させ農業に活用
ミネラル豊富なアマモ

しかし、その一方で、陸奥湾沿岸に大量に打ち寄せられるアマモは、ごみとして処分されていました。常田社長は、廃棄されるアマモに着目し、地域の農業に活用できないかと、青森県産業技術センター下北ブランドの協力のもと研究開発に取り組みました。その結果、アマモと米ぬかを土壌に混合散布し、ミネラル豊富な土づくりを行うことで、より甘味が強いかぼちゃの栽培をめざすことになったといいます。

手間ひまかけた栽培と収穫後の追熟。まさに、逸品!

農場長の沖二 昭宏さんと、トップマネージャーの浜田 一之さんの案内で、むつ市内にある農場を訪ねると、10アールの畑と2棟のハウスに、「新時代」がずらりと並んでいます。

畑 新時代かぼちゃ
ハウス栽培 新時代かぼちゃ

「ここの農場は高台に位置しているため、昼夜の寒暖差があり、水はけが良いのが特徴です。かぼちゃの品種は、『ダークホース』、『プリメラ』、『甘旨』の3種類。5月下旬、6月、7月と3回に分けて苗を植え、8月から10月下旬にかけて収穫を行い、『新時代』というブランド名で出荷しています」と、沖二さん。真夏の強い日差しからかぼちゃの実を守るため、一個ずつ大切に新聞紙でくるみ、畑のまわりには、強風を避けるためにイネ科のソルゴーを植えています。さらに、ミスト状の肥料を葉面にかけて養分を与える葉面散布の回数は、これまでの倍の4~5回に増やし、葉や茎を丈夫に育てています。

農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」農場長 沖二 昭宏さん
農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」農場長 沖二 昭宏さん
農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」トップマネージャー 浜田 一之さん
農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」トップマネージャー 浜田 一之さん

作業場を訪ねると、収穫してサイズごとに分けられた「新時代」が所狭しと並んでいます。「収穫後10~15日間、こうして風を当てて乾燥させることで追熟し、さらにおいしくなるんですよ。出荷時の糖度は13~15度を基準にしています」と、浜田さんが説明してくれました。

乾燥により追熟させている「新時代」
乾燥により追熟させている「新時代」

青森の海と里、そして地域農業にかける人々の情熱がコラボ

「新時代」は、深い緑色の果皮と鮮やかな山吹色の果肉、それに、さつまいものようなほくほくした食感とスイーツのような濃厚な甘さが特徴です。

沖二さんと浜田さんは、「やはり、おすすめは天ぷら。揚げたてのパリッとした衣と、ほくほくしたかぼちゃの食感のバランスが良く、鮮やかな果肉の色もきれいですよ。そのほか、素焼きや煮物もおいしいですね。購入後は、冷蔵庫で保存し、10日間くらいをめやすに食べ切るのがおすすめです」と、語ってくれました。そのほかにも、かぼちゃスープ、かぼちゃコロッケ、かぼちゃ餅など、バリエーション豊かな料理が楽しめます。

「新時代」かぼちゃ餅
「新時代」で作ったかぼちゃ餅

現在、首都圏の有名ホテルや、京都の料亭など、全国から注文が寄せられているといいます。青森の海と大地、そして地域農業にかける人々の情熱がコラボして誕生した新ブランドかぼちゃ「新時代」。そのストーリーに思いを馳せながら、この秋、ぜひ召し上がってみませんか。

「新時代」を購入できる場所

むつ市内の「マエダストア」

今回お話を伺ったのは

農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」社長常田嘉一郎さん

農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」
社長 常田 嘉一郎さん

住所 青森県むつ市新町37-18
TEL 0175-22-7220

農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」農場長沖二昭宏さん

農場長
沖二 昭宏さん

農業生産法人「下北カンブリア農場株式会社」トップマネージャー浜田一之さん

トップマネージャー
浜田 一之さん


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