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産地情報 ~りんごの栽培技術を生かした「津軽の桃」~ (2023年7月)

りんごの栽培技術を生かした「津軽の桃」

りんごの一大産地として知られる青森県津軽地方で栽培されている「津軽の桃」。寒暖差のある気候と、りんごの栽培技術を生かして作られているのが特徴です。口いっぱいに広がるジューシーな甘味と、程よくしまった果肉で日持ちもすることから人気を集めています。

早生りんごの台風リスク回避をきっかけに

「『津軽の桃』は、もともと、早生りんごの台風のリスク回避を模索するなか、りんご以外の果樹を作れないかと、旧平賀町(現平川市)のりんご農家12名が中心となって取り組みを始めたものです」と、語るのは、JA津軽みらい平賀基幹グリーンセンター指導係長の佐々木芳彦さん。

JA津軽みらい 平賀基幹グリーンセンター指導係長 佐々木芳彦さん
JA津軽みらい 平賀基幹グリーンセンター指導係長 佐々木芳彦さん

さまざまな果実を検討するなかで、桃とりんごの栽培方法には共通点が多く、これまで培ってきたりんごの栽培技術を活かせること、また、昼夜の寒暖差が大きい津軽平野の気候が桃の栽培にとって好条件であることがわかりました。そこで、メンバーたちは、福島県や秋田県鹿角市などの桃の産地を視察見学。栽培技術を学び2004年から桃の栽培に取り組み始め、2007年より本格的に産地化に向けて動き出しました。

その後、田舎館村の生産者も参画し(2010年津軽もも生産部会へ改称)、2008年の広域農協合併により津軽みらい農協となったのをきっかけに、2009年には黒石市、旧尾上町(現平川市)の2地区のもも生産者組織を含めた3組織で、「津軽みらい農協もも生産協議会」が設立されました。現在は協議会が中心となって栽培を行っています。

「現在、生産者は約90名。栽培面積も年々増加し、特に20~30代の若い世代の生産者が増えているのが特徴です。2016年には、地域団体商標を取得しました」と、佐々木さん。試行錯誤しながら桃の栽培に取り組みを始めてから約20年。今や「津軽の桃」は、津軽地方を代表するブランド果実として定着し、多くのファンを魅了しています。

津軽の桃

デリケートな桃を傷つけないよう、きめ細かく管理

平川市唐竹地区で、りんごと「津軽の桃」の栽培を行っている佐藤徳樹さんは、3代目農家。「父は、この地で桃の栽培に取り組んだ初期メンバーの1人ですが、長年、津軽のりんご農家たちが培ってきた剪定や実すぐり、袋かけ、畑に反射シートを敷き詰め、果実のお尻の方まで着色させるなどりんご栽培のノウハウが、桃の栽培に生かされていると感じます」と、語ります。

「津軽の桃」生産者 佐藤 徳樹さん
「津軽の桃」生産者 佐藤 徳樹さん

「津軽の桃」の栽培においては、幹を斜めに仕立てる「斜立主幹形」という方法を採り入れている生産者も多く、佐藤さんもその1人。樹高を抑えることで作業効率を高められるだけでなく、樹冠内部まで太陽の光を取り込めるメリットがあるといいます。
また、佐藤さんは、太陽の光がまんべんなく当たるよう果実まわりの葉を摘む際も、葉の半分だけ手でちぎり取り、光合成のために必要な葉はあえて残しています。樹形や日の当たり方を細かく観察しながら、丹精込めて丁寧に育てています。

必要な葉は残している
必要な葉は残しつつ、太陽の光が差し込む

「桃がりんごと大きく違うのは、なんといっても果皮のデリケートさ。そのため、収穫時も傷つけないようにとても気を遣います」と、佐藤さん。収穫時は、手かごの中で下になった桃が重みでつぶれないようにするため、りんごのように重ねることはしません。また、運搬車の振動で桃を傷つけないように、運搬車は使わずに、園地内を何度も往復しながら人力で運ぶのだといいます。

8月上旬~10月上旬まで、2カ月間味わえる「津軽の桃」

「津軽の桃」は、平年であれば8月上旬の「夏かんろ」、「あまとう」から始まり、8月中旬には「あかつき」、8月下旬には「おどろき」、9月上旬には主力品種である「川中島白桃」、9月下旬には「だて白桃」と、10月上旬まで出荷が続きます。
今年度は温暖化傾向の為か1週間程度は早めの出荷になる予想です。
なかでも、「津軽の桃」の主力品種「川中島白桃」は、300~350グラムと大玉で、全体的に濃い紅色、果汁たっぷりで甘みが強いのが特徴です。また、果肉はやや硬めで食感が良く、日持ちにも優れています。

津軽の桃 実っている様子

JA津軽みらいでは、出荷する際「光糖度センサー」でサイズ・糖度・色の付き具合を計測し、糖度11以上のものだけを「津軽の桃」として出荷しています。
本州最北端の冷涼な気候により、他県産の桃の出荷が終わったころに出荷できることも強みで、市場からの引き合いも高まっています。

「購入後に保管するときは、アルミホイルで包んでから冷蔵庫に入れるとおいしさがキープできます。冷やし過ぎると、せっかくの桃の風味が感じられなくなるので、食べる2時間前には常温に戻してからどうぞ」と、佐藤さん。
津軽のりんご農家が、りんごに注いできた栽培技術を生かし、情熱と愛情をこめて育てた「津軽の桃」を味わってみませんか。

たわわに実る津軽の桃

「津軽の桃」、加工品を購入できる場所

産直センターひらか(アグリアス)
( TEL:0172-43-1831
※入荷しないこともあるため、事前にご確認ください。

津軽の桃 加工品
津軽の桃 加工品

今回お話を伺ったのは

JA津軽みらい 平賀基幹グリーンセンター指導係長 佐々木芳彦さん

JA津軽みらい
平賀基幹グリーンセンター指導係長 佐々木芳彦さん

住所 青森県平川市小和森上松岡211-1
TEL 0172-44-1201

「津軽の桃」生産者 佐藤 徳樹さん

「津軽の桃」生産者
佐藤 徳樹さん


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