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産地情報 ~栄養の宝庫!春から初夏に旬を迎える「ワカメ」~ (2022年4月)

栄養の宝庫!春から初夏に旬を迎える「ワカメ」

私たち日本人にとって、ポピュラーな海藻のひとつである「ワカメ」。青森県では春から初夏にかけて旬を迎え、この時期限定の「生ワカメ」も店頭に並びます。現在、国内で収穫されるワカメのほとんどは養殖ですが、青森県今別町袰月地区では、全国でも希少な天然ワカメの収穫が行われています。

全国でも希少! 津軽海峡の荒海が育んだ天然ワカメ

2016年に開通した北海道新幹線の「奥津軽いまべつ駅」から車で約20分。津軽半島の北端に位置する今別町袰月地区は、津軽海峡の海岸線に面した小さな集落です。

「国内で流通しているワカメの95パーセントは養殖だといわれていますが、この地域では昔から良質な天然ワカメが採れるんですよ。津軽海峡の激しい潮流にもまれて育ったワカメは、肉厚で食感も抜群です」。

そう語るのは、合同会社「袰月海宝」代表の小倉龍毅さん。毎日、漁に出て海藻を採り、それらを加工・販売する6次産業に取り組んでいます。

合同会社「袰月海宝」 外観
合同会社「袰月海宝」

袰月地区の漁師の家に生まれた小倉さんは、旧郵政省に入省し、40年間、全国の郵便局舎の設計・建築に携わっていました。その後、ゼネコンに転職し、65歳まで首都圏で暮らしていました。しかし、帰省するたびに、人口減少が進む地区の現状をまのあたりにし、「このままでは、大好きなふるさとがなくなってしまう」という危機感を覚えたといいます。そこで、2009年、小倉さんは妻とともにUターン。「海藻が豊富な地域資源を利活用し、若い人が定住できる雇用の場を生み出そう」と一念発起し、2012年に会社を立ち上げました。

岩場に自生する「岩わかめ」

合同会社「袰月海宝」代表 小倉龍毅さん

「向こうにゴツゴツした岩場が見えるでしょう。この辺のワカメは『岩ワカメ』と呼ばれ、ああいう岩に張り付いて育つんです」と、沖を指差す小倉さん。透明度が高く、底がはっきりと見える美しい海の向こうに、岩場が広がっています。

「津軽海峡は、対馬海峡から日本海を北にのぼってきた対馬暖流が、津軽暖流として太平洋へと抜ける通り道。また、津軽海峡の東には北太平洋からやってくる親潮も流れています。津軽海峡は、そうした暖かい水と冷たい水がせめぎ合う潮流の激しい場所なんですね。ここで採れる天然ワカメは、そうした潮流にもまれて育つことから、肉厚で歯ごたえのある食感と野性味あふれる香りが際立っているんですよ」。

岩ワカメがはり付く岩場
岩ワカメが張り付く岩場

ワカメは、7月頃になると子孫を残すために胞子を放出します。放出された胞子は、岩などに張り付いて、2月頃から芽吹きます。この地域では、4月初旬から6月初旬が収穫時期。小倉さんたち地域の漁師の方々は、長さ7m、幅1.2m程度の小舟から、水眼鏡でワカメを確認し、上半身を乗り出して、矛先に鎌がついた道具で採捕します。

50年ぶりに復活した伝統の技法「焼干灰わかめ」

生ワカメは日持ちがしないため、保存性を高めるために昔からさまざまな工夫がなされてきました。小倉さんが地域の方たちと取り組んでいる塩蔵ワカメの加工品もそのひとつ。海水で湯がいた生ワカメをすぐに海水で冷やして水切りし、塩をまぶします。茎と葉を分け、一昼夜重しをかけてから脱水し、天日干しします。

また、「焼干灰わかめ」は小倉さんたち地区の漁師が中心となり、袰月地区に伝わる昔ながらの製法を50年ぶりに復活させたもの。赤く燃えさかるワラの中に採れたての生ワカメを直接投入し、焼きながら灰をまぶした後、天日乾燥したものです。

「灰による保存効果で、生ワカメに限りなく近い食感を1年以上保つことができます。素干しのワカメに比べて鮮やかな緑色が特徴で、歯ごたえの良さと焼干しによる香ばしい香りが楽しめるんですよ」。

焼干灰わかめ
焼干灰わかめ

さまざまな料理で味わえる万能食材

生ワカメは、鮮度が命。小倉さんによると、地元では収穫したばかりの生ワカメをしゃぶしゃぶにしていただくといいます。さっとお湯に通すと、茶褐色だった生ワカメが鮮やかな緑色に変身。ポン酢などお好みのたれでいただくと、シャキシャキした食感と磯の香りが口いっぱいに広がります。豊かな津軽海峡が育んだ極上の逸品。シンプルなだけに、素材の風味がダイレクトに感じられる、ぜいたくな春のごちそうです。

塩蔵ワカメのパッケージ
塩蔵ワカメのパッケージ
塩蔵ワカメ
塩蔵ワカメ

塩蔵ワカメは、水にさらして塩抜きし、酢の物やサラダ、天ぷらがおすすめとのこと。また、塩抜きしたワカメを細かく刻んで卵焼きに混ぜてもおいしくいただけます。

「焼干灰わかめ」は、5分程水で戻した後、よく水洗いします。この時、灰が残っているとえぐみの原因になるので、何度も丁寧に洗うのがコツ。その後、しっかりと水切りし、食べやすい大きさにカットし、お好みでわさび醤油やポン酢でさっぱりといただきます。製造過程で一度加熱しているため、汁物にすると柔らかくなり過ぎることも。刺身やサラダ、カルパッチョなどにしてそのままいただくことで、生ワカメのような食感と風味が楽しめます。

血糖値や血圧の上昇を抑え、腸内環境を整える効果も

ワカメには、水溶性食物繊維が多く含まれています。水溶性食物繊維には、糖質や脂質の吸収をゆるやかにする働きや、腸内の余分なコレステロールを排出する働きがあります。食後の血糖値の急上昇を抑えることから、高血圧や糖尿病など生活習慣病の予防、便秘の改善にも効果的です。また、ワカメに含まれるヨウ素は、新陳代謝に必要な甲状腺ホルモンの働きを正常化して、美肌効果や老化予防も期待できるといわれています。ほかにも、カルシウムやフコイダンなどの機能性成分が豊富に含まれています。

「地元では、ワカメのほかにも、テングサ、イワノリ、フノリ、エゴノリ、マツモ、アオサなど、さまざまな海藻が収穫されます。この地域では、自然の栄養素がたっぷり詰まった海藻をベースに命をつないできたんです。まさに、宝の海ですね。そのおかげなのか、地区には高齢になっても元気な人が多く、80歳を超える現役漁師も少なくありません。私もワカメの酢のものは毎日欠かさず食べていますよ」と、笑顔で語る小倉さん。栄養豊富で低カロリー、しかも、面倒な下ごしらえの手間も不要なワカメ。ぜひ、毎日の食事に取り入れてみませんか。

「袰月海宝」の商品を購入できる場所

「袰月海宝」の商品を購入できるサイト

袰月オンラインストア

合同会社「袰月海宝」代表 小倉龍毅さん

今回お話を伺ったのは

合同会社「袰月海宝」

代表 小倉龍毅さん

青森県東津軽群今別町字袰月31 ( TEL:0174-36-2011 http://horotalk.ciao.jp


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