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産地情報 ~青森の清らかな森、川、海が育む「陸奥湾ほたて」~ ほたて広場 (2020年8月)

青森の清らかな森、川、海が育む「陸奥湾ほたて」

とろけるような甘さとぷりぷりした食感の陸奥湾ほたて。品質・味ともに優れ、青森県が世界に誇る食材です。“養殖ほたて水揚げ高日本一”を誇る平内町にある「ほたて広場」を訪ね、濱田昌勝館長にお話を伺いました。

陸奥湾ほたてがおいしい理由

下北半島と津軽半島に囲まれた陸奥湾。白神山地のブナ林や八甲田山系から清らかでミネラルたっぷりの水が注ぎ、植物プランクトンが育ちます。陸奥湾ほたては、こうした良質で新鮮なプランクトンを餌に、海のゆりかごのような、湾内のおだやかな波の中で育ちます。養殖とはいえ、人工の餌は与えず、漁師が1枚1枚手間ひまかけて大切に育てているため、高品質なほたてが育ちます。

そもそも、陸奥湾ほたてはどうやって育てているの?

陸奥湾では、湾の中央部を除き、沿岸エリア一帯でほたての養殖を行なっています。養殖方法は、大きく分けて3種類。ネット状のかごにほたて貝を入れ海中に吊るす「かご養殖」、ほたて貝の一部に穴を開け、テグスなどを通して海中に吊るす「耳吊り養殖」、さらに、かごに入れ一定の大きさに成長させた稚貝を海に放流し、2年以上経過してから漁獲する「地まき放流」です。陸奥湾では、野辺地町や川内町などで「地まき放流」を行なっていますが、「かご養殖」と「耳吊り養殖」が大半を占めています。

北海道のほたてと、陸奥湾ほたては何が違う?

ほたての水揚げ高日本一の北海道と、2位の青森県。両者を比較した時、ほたての養殖方法や味に何か違いはあるのでしょうか。濱田館長に伺いました。

「北海道の2大ほたて産地は、噴火湾とオホーツク海。噴火湾では、陸奥湾ほたてと同じように、稚貝を海中に吊るして養殖していますが、オホーツク海は地まきです。凍てつくオホーツクの荒海にもまれながら外海で育ったほたては、貝柱が筋肉質でコリコリとした食感です。海底で育つため砂が入っていることも多く、貝柱をはずして洗浄し、寿司ネタとしても使われます。それに対して、陸奥湾ほたては、波の静かな湾内の環境で育ち、ほたてが生育する水深20~30メートルのあたりはプランクトンも豊富なため、肉厚で甘く、ぷりぷりとした程よい弾力を持ったほたてに育つんですよ」。

“玉ねぎ袋”のアイディアで100億円超産業へと発展!
先人たちの汗とプライドが生んだ世界初のほたて養殖技術

2019(平成31)年に、青森県内で水揚げされた魚介類のうち最も多かったのはほたて貝で9万9,154トン、生産量全体の52パーセントを占めています。また、生産額もほたて貝が134億8,449万円と最も多くなっています。

陸奥湾には古くからほたてが生息し、10数年に一度、大発生を繰り返しました。しかし、自然発生に頼っていた時代は生産量も安定せず、激しい変動の連続だったといいます。そこで、漁業関係者や研究者たちは、ほたての安定生産を目指そうと試行錯誤を続けました。

ほたて貝は、産卵後、幼生(ラーバ)として海中を浮遊し、桜が咲く頃に海藻などに付着して成長します。この習性に着目し、海中に付着器を入れ採苗に取り組んだのが平内町の漁師・豊島友太郎 (1899~1965) です。 ほたて養殖が、まだ雲をつかむような話だった時代にその必要性を訴え、私財を投げ売って自ら実践し、ほたて養殖の基礎を築いたのです。

山本護太郎(1914~2005)は、東北大学青森県水産実験所に勤務し、ほたて養殖の研究を重ね、世界で初めてほたての人工産卵に成功しました。さらに、1965(昭和40)年ごろには、現・外ヶ浜町平舘の漁師・工藤豊作(1900~1979)が、画期的な稚貝の採取方法を考案。卵子が付着した杉の葉をタマネギ袋で包むことで、杉の葉から離れた稚貝が海底に落下するのを防ぐことに成功したのです。

このように先人たちの努力により養殖技術が発達したことで、ほたて漁業は飛躍的に成長。今日では、100億円超産業へと発展しました。ほたて広場2階には、「養殖ほたて発祥の地・平内」のほたて漁業の歴史がわかる展示スペースもあります。

クセがないから、どんな料理にもアレンジできる万能食材

陸奥湾ほたての旬は、貝柱がどんどん大きくなる5月~8月。2度目の旬は、生殖巣(卵)が発達する12月~3月です。陸奥湾ほたては、お刺身はもちろん、焼く・煮る、揚げるなど、どんな調理法にも合う万能食材。太宰治の小説『津軽』にも登場する「貝焼き味噌」は、青森県人のソウルフードです。大きなほたて貝を鍋にして少量の水で味噌を溶き、煮立ったところにお好みの具材を入れ、卵でふわりととじた郷土料理です。

貝焼き味噌 青森県の郷土料理

冷凍する場合は、貝から貝柱を取り外して中腸腺(うろ)などを取り除き、ラップに包んで冷凍します。解凍する時はフリーザーから冷蔵庫に移して、半日以上かけてゆっくり解凍すると旨みが逃げません。解凍後は、ペーパータオルなどで余分な水分を拭き取ります。

濱田館長は、「ほたては、切り方によって食感が違います。お刺身で食べるときは、縦に切るとより食感が楽しめますよ」と、話しています。

ほたてには、たんぱく質、ビタミンB1などの栄養成分が含まれています。
血中コレステロールを減らして血圧を下げ、肝機能を高めると言われるタウリンや、疲労回復・体力増強に役立つグリコーゲンも豊富に含んでいます。さらに青森県産業技術センター水産総合研究所の研究によると、ほたて貝には、制がん作用のある糖たんぱく質が含まれていることが明らかとなり、この物質は免疫細胞を活性化させる働きを持つこともわかりました。
このようにたくさんの栄養成分を含むほたてですが、脂肪分は少なく、ヘルシーな食材と言えます。

青森が生んだ鮮度保持技術。新鮮な状態で4日間OK!

「OXY元気!」(オキシゲンキ)は、青森のほたてを新鮮な状態で全国のお客様にお届けするために青森県の研究機関が開発した、酸素を使用した特殊な梱包技術です。開封しなければ発送日から4日間、とれたてと変わらない鮮度を保てるのが自慢です。

ほたて広場1階には、大きないけすが設けられており、水揚げされたばかりのほたてがピュッと勢いよく水を飛ばしています。ほたて広場ではネット販売も行っているので、ぜひ鮮度抜群の陸奥湾ほたてをお取り寄せして、遠くに住む大切な方へ贈ってみませんか。

お土産にも喜ばれる、バラエティー豊かなほたての加工品

ほたて広場には、平内町商工会女性部が手作りした「ほたてともあえ」や、ほたてかりんとう「あどはだり」などたくさんの加工品が並んでいます。人気商品の「ベビーホタテ」は、産卵から1年半近く経ち、稚貝よりも一回り大きくなった半成貝をスチーマーで蒸し、瞬間冷凍した商品です。JF青森漁連平内加工場では、1年のなかで最も旨みの強い4~8月に水揚げした半成貝を、できるだけ旨みを逃さない技術で商品化しています。2000年には、対米向けのHACCP認定工場となり、世界基準の品質管理に基づいた製造管理を行なっています。

「『ベビーホタテ』は、解凍してすぐに使える便利さに加え、程よいサイズ感で使い勝手が良いと好評です。バター焼きのほか、串に刺してバーベキューに、酒蒸し、鍋の具材、酢味噌和えなどにおすすめ。また、燻製やカレーの具にしてもおいしいですよ」と、濱田館長は、語ります。

さらに魅力アップした、ご当地レストラン「ホタテ一番」でほたて料理を味わおう!

ほたて広場に隣接するご当地レストラン「ホタテ一番」は、2018年5月にオープンしました。さらなる商品価値アップのため、2019年11月から一時休業していましたが、2020年6月18日にメニューを一新してオープンしました。
10品中9品が新メニューで、ご当地グルメ「平内ホタテ活御膳」のほか、深浦マグロ・中泊メバル・平内産ほたてを使った「青森県プライドフィッシュ3色丼」や「黄金にぎり寿司定食」、「陸奥湾ホタテえびしおラーメン」など、ほたての産地ならではの料理が味わえます。「平内ホタテ活御膳」は、同店のほか平内町の「レストラン喫茶 ボンネット」、「仕出し ま兵」、「レストラン シーグランス」でも提供しています。

「ホタテ一番」の入り口には自動検温器を設置し、店内の消毒を徹底するなど、万全の新型コロナウィルス感染予防対策を行なっています。また、ほたて広場出入り口にはお客様用のアルコール消毒液を設置し、レジカウンターには飛沫感染防止対策としてビニールカーテンを設けるなど、お客様が安心してお買い物ができるように配慮しています。

「平内漁協では毎年、夏泊半島の東田沢地区にある『漁民の森』で植樹を行っています。漁師みずから植樹をすることで、森と海のつながり、自然や環境に対する意識を高めていく地道な活動です。陸奥湾の恵みは森の恵み。ぜひ、青森の素晴らしい自然が、そして漁師が、手塩にかけて育てた陸奥湾ほたてを味わってください」と話す、濱田館長。陸奥湾ほたては、青森の豊かな自然、そして人々の想いによって育まれています。

陸奥湾ほたて(活貝)を購入できる場所

  • ほたて広場
  • 青森県観光物産館アスパム
  • 青森空港
  • 県内のスーパーなど

インターネット販売
青森県漁業協同組合連合会
ほたて広場 ショッピングサイト

ほたて広場 濱田 昌勝 館長

今回お話を伺ったのは

ほたて広場 濱田 昌勝 館長

住所 東津軽郡平内町大字土屋字鍵懸56
TEL 017-752-3220

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