ここ数年、テレビや雑誌などでも話題になっている国産キクラゲ。優れた栄養価を誇り、しかも低カロリーと評価されています。現代人の食生活に積極的に取り入れたい食材として注目を集めています。現在、キクラゲは、国内消費量のほとんどが海外からの輸入品ですが、国内生産量も徐々に増えており、国産品に消費者のニーズが高まっています。
そんななか、7月10日に「青森きくらげ」がデビューします!生の状態で販売できる純国産のキクラゲは全国でも希少。生鮮品ならではの、ぷりっぷりの食感をさまざまな料理でお楽しみください。
「青森きくらげ」はこうして生まれた
「青森きくらげ」の最大の特徴は、肉厚でみずみずしく、こりこりとした食感。また、外国産の乾燥キクラゲが濃い黒色であるのに対し、赤茶色の明るい色合いも特徴の一つです。
「青森きくらげ」の開発ストーリーは、平成26年度にさかのぼります。青森県のキノコ生産の大半を占めるのはシイタケ。しかしシイタケは夏場の生産量や単価が落ち込むことから、キノコ生産者の安定した収入のため、夏場でも生産量が確保でき、かつ、単価も期待できる品種が必要となっていました。
そこで、青森県産業技術センター林業研究所は、夏季の生産が可能なアラゲキクラゲに着目し、青森県の気候に合った品種開発の取り組みを始めました。アラゲキクラゲはキクラゲの一種で、その名のとおり、クラゲに似た食感をもつゼラチン質のキノコで、背面が灰白色の毛でおおわれています。日本全土に分布し、広葉樹の枯れ木などに発生するキノコです。
キクラゲは、国内消費量のほとんどが主に海外からの輸入品。消費者の食の安全に対する意識が高まるなか、自然豊かな青森で生産され、さらに生鮮品で販売可能なアラゲキクラゲは大きな強みです。青森県産業技術センター林業研究所は、野生株同士を交配・選抜するなど研究を重ね、冷涼な青森の夏に、効果的に生育できるアラゲキクラゲの新品種を開発しました。
今年6月には、生産・販売振興会(大沢豊 会長)を発足し、「青森きくらげ」と命名されました。今年は27経営体が栽培を行い、約2トンが生産される予定です。振興会では出荷基準を設け、生で出荷する場合は5センチメートル以上の大きさを目安としており、それ以外で病気やカビがないものは乾燥品として出荷します。
食材のなかでも、ビタミンD、食物繊維がトップクラス!
現代人の健康をがっちり支える、キクラゲの優れた栄養価!
キクラゲは、ビタミンD、食物繊維などが豊富で、しかも低カロリーな食材として最近特に注目されています。ビタミンDは、魚介類に多く含まれていますが、キクラゲのビタミンD含有量は、食材のなかでもトップクラス!
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し骨を強くしてくれる働きがあるため、骨粗しょう症予防にも役立つと言われています。
さらに、キクラゲの食物繊維はキノコ類のなかで一番豊富。厚生労働省の「生活習慣病予防のための健康情報サイト」によると、食物繊維は便秘の予防をはじめとする整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、多くの機能が明らかになっています。ほとんどの日本人に不足している食品成分なので、「青森きくらげ」を上手に取り入れて日々の健康に役立てましょう。
純国産の菌床と、青森の自然、そして生産者の愛情が「青森きくらげ」を育む!
「青森きくらげ」を栽培している生産者を訪ねて向かったのは、五所川原市金木地区。
「企業組合ひらかわファーム」では、同地区の廃校舎を活用して、5年前から独自でキノコの菌床栽培やレタスの水耕栽培を行っています。冬場は地熱を利用して温度調整をしており、通年でキノコ栽培に取り組んでいます。
桑田昭彦理事長に案内されて校舎の2階に上っていくと、教室の中に「青森きくらげ」の菌床がズラリ。室温・湿度管理とともに、定期的に外気を取り入れることで、炭酸ガス濃度が高くなり発生不良になるのを防いでいます。
「この菌床の中には、国産の広葉樹を使用した、おが粉が入っているんですよ」と、桑田理事長は、菌床を指差します。
スタッフの方が、たった今収穫して、さっと水洗いした「青森きくらげ」を持ってきてくれました。「これが本当にキクラゲ?」と驚くほど、肉厚で存在感たっぷり!想像以上のボリューム感に目が釘付けです。
もう脇役だなんて言わせない!
和洋中なんでも合う、主役級の「青森きくらげ」
「キクラゲはそれ自体に味がないだけに、和洋中なんにでも合うんですよ。和食とも相性がいいので、酢の物やからし醤油和えなど和食にもおすすめです」と桑田理事長。清涼感のあるつるんとした食感で、食欲が減退しがちな夏場にもぴったりです。野菜サラダや酢の物で食べる場合は、30秒ほど湯通ししてから使うのがポイントです。
桑田理事長が個人的に一番好きだと語るのは、「青森きくらげ」と豚肉と卵の炒め物。「青森きくらげ」は、あまり細かく切らないことで、食べ応え十分の一皿に。炒め物や煮物に使う場合は、下ゆで不要です。さらに、桑田さんが教えてくれたのは、細く切った「青森きくらげ」を麺に見立てて、ラーメンスープに入れて食べる方法。最近、流行している「置き換え麺」のような、ダイエットにもぴったりなスープヌードルです。
桑田理事長によると、生の「青森きくらげ」は、冷蔵庫で保存すると2週間ほど日持ちするとのこと。冷凍保存も可能で、解凍する時はレンジではなく冷蔵庫に入れて戻すのがコツ。また、乾燥品の「青森きくらげ」は、たっぷりの水で6時間戻すのがおすすめだそうです。
青森が誇るブランドに育て上げ、全国に売り込みたい!
桑田理事長は、かつて千葉県でキクラゲ栽培の経験があり、当時は、お寿司屋さんや天ぷら屋さんにもキクラゲを納めていたと言います。その経験がかわれUターンし、自身が一期生として卒業した母校の小学校で、「青森きくらげ」の栽培を行っています。
今、青森県内では、桑田理事長と同じようにアツい思いを持った生産者の方々が栽培に取り組んでいます。
「我々、生産農家も県も、青森の気候に適した良いものを作り、より多くの人たちに知ってもらい、地元の方たちに愛されるものにしたいと思っています。青森が誇るブランドにできれば、最終的には我々はそれを持って首都圏に売り込みたいという夢があります! ぜひ、いろんなアレンジ料理で楽しんでください!」と語る桑田理事長。
人々の健康を守り、生産者も、地域もハッピーになれる「青森きくらげ」。
ぜひ、多くの人に味わっていただきたい逸品です。
今回お話を伺ったのは
りんごの里 ひらかわファーム 桑田 昭彦 理事長
りんごの里 ひらかわファーム
住所 | 青森県五所川原市豊成田子ノ浦83-3 |
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