青森では、寒さが厳しい真冬でも、逆にその寒さを利用したおいしい冬野菜づくりが行われています。今回はその一つ、肉厚な葉の食味と、強い甘味が特徴の「寒じめほうれん草」をご紹介します。
寒じめの効果
「寒じめ」は、収穫間近になった菜っ葉をわざと寒さに当てる栽培方法です。外の気温が5℃以下になる時期に、ハウスを徐々に開放しながら10~
14日間寒さにあてます。最近の研究から、地温が8℃以下になることで植物の給水能力が低下して、糖度が高まることが分かってきました。
「寒じめ」することによって、葉は凍りつかないように水分を少なくし、糖分をため込むことから甘みが増し、うまみ成分であるアミノ酸含有量やビタミンCも上昇します。これらの効果は、「寒じめ」する日数が長くなるほど高まります
寒じめほうれん草の特徴
ほうれん草は、冬採りは夏採りに比べビタミンCが3倍多くなるほど栄養価が増します(五訂日本食品成分表)。また、えぐ味の原因となるシュウ酸の含有量は、地温低下により代謝が少なくなることから減少します。
ほうれん草は、「寒締め」すると株がやや開いた状態になり、葉肉が厚くなりますが、その程度は品種によって様々です。例えば、「ちぢみほうれんそう」ともよばれる品種「朝霧」などは寒締めの前後から若干平たい形、立ち性の品種は立ち性のまま糖度が高まっていきます。従って、「寒じめほうれん草」とは形によるものではなく、糖度などの内部の品質によるもので、生産者の「寒締め」管理が問われるものということになります。
青森県の主産地
青森県の主な産地は、今別町、五戸町、十和田市、新郷村、弘前市などで、夏場はトマト、なす、輪菊、葉菜類などの生産者です。
この中で、今別町、五戸町、新郷村、十和田市のグループは「ちぢみほうれん型」の品種、弘前市は「立ち性」の品種に、それぞれこだわり、どの地域も、安定した高品質のものを出荷するため、栽培講習会、現地検討会、出荷目揃いなどを行っています。また、今別町や弘前市のグループなどは、栽培期間に糖度測定を実施して、「出荷時糖度」の基準を作り、測定した糖度を表示した出荷・販売を行っています。
料理
鉄分をより効率よく吸収するためには、少量の動物性タンパク質が必要です。炒めたベーコンと合わせる「ほうれん草サラダ」などはまさに「理」にかなった食べ方と言えます。
また、ほうれん草に含まれるビタミンCは、水に溶けやすく熱によっても壊れやすいため、短時間でゆでたり炒めたりすることが大切です。
<料理撮影協力>
フランス料理「evie -エヴィエ-」
住所:青森市本町5-3-1 コーポ高光1F(TEL:017-776-2207)
http://www.evie-french.jp/
津軽割烹 未来
住所:青森市安方2-3-16(TEL:017-775-2005)
http://www.tk-mirai.com/
リンク
旬の食材 2017年2月号「あおもりの冬野菜」