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青森のうまいものたち

あんず 八助(2010年7月)

2010年7月号 あんず 八助
いよいよ果物の季節到来!この季節の青森県では、さくらんぼ、うめ、あんずなどの果物が旬を迎えます。
青森県の県南地方には、うめと呼ばれるあんずが存在していることをご存じですか? 今回はあんず「八助」を特集します。

「八助梅」?

青森県南部町

青森県は長野県とならび、全国でも有数のあんずの産地です。県内で最も多く生産されているのが、県南地域の南部町。
この地域で古くから栽培され、「八助梅」と呼ばれ親しまれているあんずが「八助(はちすけ)」です。「あんず」なのに、なぜ「うめ」と呼ばれているのでしょうか?。

「うめ」と「あんず」

「うめ」と「あんず」

うめとあんずは同じバラ科の仲間で近縁種。種が果実から外れるか否かの特徴から簡単に見分けることができます。酸味が強く、種が実からはずれにくいのがうめ。一方、あんずは種が実から簡単にはずれ、果実は生のまま食べることができます。
うめは、梅干し、梅酒、梅肉エキス、シロップ漬けなどに、あんずは、干しあんずやジャム、ジュースなどの加工用として利用されています。

あんず「八助」の特徴

あんず「八助」の特徴

八助の特徴は、まずは、その大きさ。主力品種「平和」の重量が60g前後であるのに対して「八助」は約80gと実に大柄です。
次に独特の食感。肉厚の果実は緻密で、シャリッ、サクッとした歯ごたえは八助ならではの食感です。
そして加工適性。多くのあんずは甘味が少なく酸味が多いため、干しあんずやシロップ漬け、ジャムなどに利用されていますが、甘味、酸味ともに多い八助は、その食味と食感が梅干し(しそ巻き)の加工に適しています。当然のようにこの地方で昔から梅干しに用いていたのはこの八助で、これが八助梅と呼ばれる理由でもあります。

「八助」の梅干し

「八助」の梅干し

この小桃ほどもある八助は梅干しにするのが一番だと地元の人は言います。ただし、この地方で梅干しと言ったらしそ巻きのこと。まず3日間ほど塩漬けした八助を2つに割って天日で干し、ざっと洗って水を切った後、1個ずつしその葉に巻いていきます。塩をまぶしながら並べ、お好みで砂糖やお酒などを少々加えて3か月ほど本漬けします。家庭によってさまざまな作り方があります。

「八助」の加工品

「八助」の加工品

梅干しのほか、八助を使った様々な加工品があります。

  • 八助カレー
  • 八助梅漬け
  • 八助ソース(ドレッシング)

あんずの知識

● 歴史

あんずの種
あんず「八助」

原生地は中国を中心としたアジア東部とされ、紀元前3000年~紀元前2000年頃にすでに利用されていたそうです。日本へはかなり古い時代に中国から伝わり、唐桃(からもも)と呼ばれ栽培されてきました。観賞用として万葉集でも歌われており、江戸時代には果実を食用に、種子の核(杏仁(あんにん))を薬として利用していました。
比較的暖かい気候を好むうめが、奈良、京都などの寺社を中心に全国に広まっていったのに対し、寒い気候を好むあんずは、北陸、甲信、東北地方などの冷涼な地域に広がりました

● 生産と利用

あんずの主産地は長野県と青森県です。品種は、全国的に見ると長野県原産で酸味が強い「平和(へいわ)」、新潟県原産で大玉の「新潟大実(にいがたおおみ)」、山形県原産で外観がよい「山形3号」が多く、最近は長野で育成された「信州大実」が増えているようです。 青森県の主要品種は、県南地方で古くから栽培されている「八助」と、豊産性で本県での栽培に適している「新潟大実」です。
どちらも大玉ですが、「新潟大実」は甘みが少なく酸味が多いので生食に適さず、シロップ漬けやジャムなどの加工に用いられます。甘味酸味ともに多く食感のよい「八助」は梅干しや生食に用いられます。

● おいしいあんずの見分け方・保存方法

ふっくらと丸くて果皮に張りがあり、実が締まっているもの、また、果皮全体がダイダイ色に染まっているものを選びましょう。芳香があれば熟しています。
熟した果実は傷みが早くあまり日持ちしないので、冷蔵庫で保存し2~3日以内に食べるようにします。また、干しあんずも冷蔵庫に入れて保存します。

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