青森のうまいものたち

青森県内で主に作付されている小麦は「キタカミコムギ」と「ネバリゴシ」、そして「ゆきちから」の３種類です。
「キタカミコムギ」はたんぱく質の含有量が少なく、薄力粉として主にお菓子に用いられ、「ネバリゴシ」は製麺に適した、なめらかでもちもちとした食感になる小麦です。「ゆきちから」はパン向きの小麦で、これらの小麦は十和田市やつがる市など、県内各地で生産されています。
この中でも「ゆきちから」について、詳しくご紹介していきます。

日本の小麦はその多くを外国産小麦に依存しています。しかし近年、国産小麦を使用したパン需要が高まっていることを受け、独立行政法人東北農業研究センターで製パン性の高い国産品種の研究が進められました。
こうして誕生したのが、比較的収穫期が早く、耐寒雪性・耐倒状性・耐病性に優れた小麦「ゆきちから」です。
「ゆきちから」は、雪や寒さの影響を受けやすい地域での栽培に適した品種として、青森県でも栽培されるようになりました。
秋に播種し、長い冬を雪の下で耐えて次の年の夏に収穫される「ゆきちから」。雪の中で力を蓄える、そんなイメージが湧くこの名前はぴったりではないでしょうか。

外側はこんがりとした茶色ですが、中はきれいな白色に

「ゆきちから」を使って作られたパンには、主に４つの特長があります。
　①内層が雪のように白いきれいな色に仕上がる
　②よく膨らみ、キメが細かい
　③ふわふわでいてしっとりとした食感になる
　④小麦の甘みが強く、香りも高い
こうした評価がされる「ゆきちから」は、県内の学校給食用パンの原料として使用されています。給食用パンへの県産「ゆきちから」の使用率は100％で、地産地消の推進のため、県内の小中学校等で提供されています。

給食以外でも、県産「ゆきちから」のパンを食べられるところがあります。その1つが、青森市にある「三ッ星製パン」です。

空気を多く含むため、断面には気泡の穴が見えます

「あおパン」をトーストした「きゅうりトースト（1つ250円）」も人気です！

「三ッ星製パン」は、飽きのこないパンを目指し、甘さ控えめ・添加物不使用のパンを作っているパン屋さんです。
こちらのお店で販売しているのが、青森の食パン、その名も「あおパン」です。
県産の「ゆきちから」を使用しているだけでなく、青森県で50年以上の長きにわたって県産生乳や卵を生産し続けている萩原乳業の牛乳、東北ファームの卵も使用し、「県産の材料」ということにこだわって作った食パンです。

前述にもありますが、「ゆきちから」を使ったパンは香りが高く、そして柔らかい食感になるという特長があります。
「あおパン」にもこの特長がよく現れていて、「あおパン」を手に取ると、なんとも良い香りが漂ってきます。この香りは、持ち帰ってもしばらく消えないほどです。
そして、「あおパン」をちぎってみると、外側のこんがりとした焼き色に反して中はとても白く、柔らかいことがわかります。
柔らかさをより引き出すため、三ッ星製パンでは、卵白をメレンゲ状にして生地に混ぜ入れることで空気を多く含ませ、耳まで柔らかいふわふわのパンを作っています。
かじると、「ゆきちから」ならではの小麦の甘さが感じられます。三ッ星製パンさんによると、甘い「あおパン」には塩辛いものがよく合うのだそうです。

県産「ゆきちから」などの魅力がつまった「あおパン」。
皆さんもお好みのお惣菜などを挟んで、県産「ゆきちから」の味わいを楽しんでみてください！