6月は衣替えの季節。食の世界でも夏の食材が出回り始めます。
梅雨入りし、寒暖の差が激しく体調を崩しやすいこの時期にさっぱりとした青森県産「アスパラガス」のサラダなどはいかがですか。
青森のアスパラガス
アスパラガスがはじめて日本に伝えられたのは江戸時代で、食用として栽培されだしたのは明治時代以降と言われていますが、一般家庭で広く食されはじめたのは昭和30年代と比較的歴史の浅い野菜です。
かつては、アスパラガスと言えば、缶詰のホワイトアスパラガスでしたが、食生活の洋風化、健康志向の高まりとともに、グリーンアスパラガスの消費が伸びてきています。
青森県においても作付面積は伸びており、平成19年度の作付面積は86ha、販売数量は263tとなっており、津軽地方で多く栽培され、特に、鯵ヶ沢町では県内作付面積の5割以上を占めています。
以前は、高冷地での普通栽培であったため収穫期間が限定され、県外市場への流通量確保には至らなかったのですが、近年は、立茎栽培技術の導入によって、夏秋期の収穫だけではなく、施設を利用しての伏せ込み栽培も行われ周年栽培体系が定着しつつあります。
安定供給、価格面から外国産が売り場の主力になっている中、品質、安全面から国産志向が強くなってきていることから、JAを中心に鮮度保持管理を徹底し、消費動向に対応できる共選体制に積極的に取り組んでいます。
アスパラガスは春が一番おいしい
アスパラガスは、越冬した根の養分で育つため、春いちばんのアスパラガスが最も養分を蓄えており、味むらもなく、おいしいと言われています。 また、気温が高いと成長のスピードが速くなり、その分、栄養を十分に吸収できないまま大きくなってしまう場合があるのですが、涼しい春は約1週間と時間をかけてゆっくりと生長するため、その分、栄養分も甘みも蓄え、バッチリというわけ。また、頭の部分が最も糖分が高く、おいしいと言われています。
周年栽培の技術導入
通常栽培のアスパラガスは、収穫していくうちに根の養分がどんどん使われ、収穫が終わるころになると収穫が始まったころに比べて養分や水分が少なくなります。一方、立茎栽培は、春の収穫を従来の露地栽培と同様に行い、春芽収穫終了後、1株当たり4本程度の茎を育て(立茎)、毎日光合成を行い、十分な養分を株に蓄えながら、次々と萌芽してくる茎を収穫するため、収穫が終わるまで変わらないアスパラガスが収穫できます。立茎してから40日前後で萌芽が始まり、収穫は1.5~1.8mと生長した茎の周辺から行います。
アスパラガス担い手づくりの取り組み事例
青森県黒石市農協では、減反対策及び農家の所得向上を図るため、平成16年秋に「推進作物」にアスパラガスを選定し、平成17年春に長期間にわたる出荷に向けて立茎栽培を導入しました。夏秋期は経営の主流であるりんご、米の作業の傍ら、農家個人が手作業で選別を行っていたことから、夜中の10時まで作業をしていましたが、平成19年4月に選果機を導入してからは農家の負担も軽減され、生産者も増加し、平成19年12月には「黒石市農協アスパラ部会」を設置、現在では会員数55名となっています。年齢層も広く、若い人のアイデアもうまく取り入れながら栽培に取り組んでおり、主流のグリーンアスパラガスのほかにも、試験的にムラサキアスパラ、ホワイトアスパラを栽培している農家も出てきています。この地域では、堆肥や有機物質の投入により10年以上「土づくり」に取り組んでおり、また、当面は栽培面積の拡大を図ることを目標にしていますが、それにはまず「人づくり」が最重要と位置づけ、「担い手育成及び担い手参加型」の産地形成を図っています。
また、包装材には呼吸できるようミクロの穴が開いた通気性ものを使用し、鮮度保持にも工夫を凝らしています。
※黒石農協のアスパラガスが買える場所
黒石農協直売所(4箇所)、ベニーマート黒石店ほか
アスパラガスの栄養分
アスパラガスはカリウム、リンなどミネラル分のバランスがよく、ビタミンAが多く、穂先には動脈硬化などを抑えるルチンも含みます。うまみ成分、アミノ酸の一種アスパラギン酸はタンパク質の合成を高め、エネルギー源となります。
アスパラガスの食べ方
サラダ、てんぷら、フライのほか、和風であればからし和えや串焼き・串揚げ、煮もの、洋風であればスープやアイスクリーム等のスイーツにも使用されます。