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産地レポート 〜 生産者の声 〜

収穫まで葉を残す「葉とらずりんご」… 齊藤さんご一家(弘前市)

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写真 青森県のりんご生産量は、日本一。そして、味も日本一。
  一般に出回っている品種は、10種類ほど。それぞれに特徴がある。残念ながら、りんごが好きという人でも、品種ごとの味や特徴までも詳しい人は少ない。ましてや、その栽培方法の多様さとなると、もっと数は少なくなる。知っているのは、ほとんどりんご関係者だけかもしれない。

  弘前市下湯口に「ゴールド農園」がある。ここのりんごの特徴は「葉とらずりんご」。収穫まで葉を取らないのである。


「葉とらずりんご」とは

 葉とらずりんごは、収穫まで葉を残すことで、葉で作られるデンプン(後で糖になる)が多くなる。そのため糖度が、他のりんごより1〜2度高く、甘い美味しいりんごになる。

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葉採らずでないふじ

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「ゴールド農園」と「葉とらずりんご」

 昭和40年代、いまだ誰も鍬を入れたことがない岩木山麓の原野に、弘前市の7人の若者がリンゴ園を開墾した。この7人が結成したのが「虹の会」。後のゴールド農園だ。若者達は、りんごに袋を掛け色付きを良くする有袋栽培より、見た目は悪いが、袋を掛けず、皮にも日光を当て、皮からも糖分を作り出す無袋栽培のほうが、美味しいりんごになると確信した。今では「サンふじ」とか「サン○○」とかという風に呼ばれているりんごである。

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傾斜地のリンゴ園

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 爾来、7人はその信念を通し、世間一般も納得した。これが無袋栽培の始まり。
 一方、「葉とらずりんご」は、葉取り作業を見ていた見学者の1人が「葉を取ると美味しくなるのですか?」の疑問から、色付きを良くするためだけに行われていた葉取り作業を見直すことから始まった。

 無袋りんご・葉とらずりんごと革新的な取り組みをゴールド農園はしてきた。
 今、ゴールド農園は、7人の「虹の会」から約250軒の生産農家が作る「りんごの会」となった。


美味しい「葉とらずりんご」を作るために

 弘前市下湯口で50年以上もりんごを作り続けてきた、「りんごの会」の齊藤さん一家、作付面積2haのうち、今は、7割が「葉とらずりんご」。
  13年前、息子さんの匡一(きょういち)さんが「葉とらずりんご」を始めた。
  「葉とらずりんご」は、今まで行われてきた、りんごの色付きを良くするために満遍なく日光に当たるようにする“弦回し”や“葉取り”の作業が無い。それでもしっかり色付くためには、りんごの木の剪定(枝切り)が重要になる。

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齊藤さんご一家
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弦回しをしなくとも色づく
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紅葉したりんご
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葉とらずりんご(ふじ)
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葉とらずりんご(王林)
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リンゴ園全体に日が当たる

 剪定は、冬、雪のリンゴ園で1本づつ行われる。
 日光が木に満遍なく当たるようにいかに剪定するかが、「葉とらずりんご」栽培での難しさだ。技術がいる。
 匡一さんがお父さんの弥志則さんにはかなわないと思うのは、この剪定作業。50年以上りんごを作り続けてきた父の技術。

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冬のリンゴ園
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りんご作りの先輩・後輩
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リンゴ園で・・・

 りんごの種類によって樹の作り方は違う。“王林”は、上へ上へと行きたがるため、なるべく抑えるようにし、“ふじ”は下へ下へと行きたがるので、なるべく上に伸ばしてやるという。支えや紐での樹の整形も大事だ。4−8・9
 「葉とらずりんご」の一枝に残す葉は120枚ほど。葉から光合成で樹に勢いがあるため、樹の本来の樹勢は押さえ気味にするという。抑えるところ、引き上げるところ・・、一見、自然に育っているようだが、人の手無しでは、良く育たないのだ。

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王林は上へ上へ
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ふじは下へ下へ
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支えで枝を形作っていく
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枝に120枚ほどの葉
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人の手が入ってこそ
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手に実りが…

生産から販売まで

 それまで、お父さんの手伝との意識が強かった匡一さん「この“葉とらず”を始めて、りんご作りが面白いと感じるようになった」と言う。

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匡一さん
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家族総出の作業
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慈しむように
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収穫も重労働です
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お母さんも
結構高いところで作業

 ゴールド農園に「葉とらずりんご」を出荷するようになってから、「葉とらずりんご」の購入者である生協組合員と交流し、生産から販売まで一環して関われることが出来るようになり、身近に消費者の意見が聞けることが何より嬉しいという。それまでは、自分の作ったりんごは業者に出荷すれば何処にどう行くのか、流通ルートは分からなかった。
 夏には、生協に出荷している様々な農産物生産者同士の交流会もある。其処でもいろいろな話が聞ける。人の輪はどんどんと広がっていく。

 台湾に視察に行ったときに知り合ったセレクトショップのオーナーとも、交流が続いている。齋藤有紀さんが経営するセレクトショップ「zizi」では、ゴールド農園のりんごジュースを販売している。この日は、ご両親と産地訪問。匡一さんの熱心な説明で、齋藤さんは、お客さんに自信を持って勧められるだけの手応えを感じたようだ。

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東京からのお客様
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りんごの説明
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安全安心談義
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ゴールド農園の
りんごジュース
 

りんごの底力・農家の底力

 斎藤さんのリンゴ園には、樹齢100年〜120年と言われる老木がある。画家さんがその老木を描きに園地を訪れた。
  この樹は、もともと“紅玉”の樹だったが、“ふじ”を接ぎ木し、今は“ふじ”を着けている。しかし、今でも昔を思い出すように原木だった紅玉の実をいくつか着ける。“ふじに成る紅玉”

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画家さんを案内して老木へ
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老木といえどもこの結実
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樹齢百年以上のふじの木
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老木の中はなぜか落ち着く
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ふじの老木に紅玉が結実

4つだけ結実した紅玉→
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 今年青森りんごは、雹の被害を受けた。お母さんのヤツエさんが差し出したりんごには、“あばた”が・・・。農家は大きな損害を受けた。
 例年より収穫量は減ったが、味は良い。

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今年6月に降った雹で…
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蜜が・・・
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味が良い
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葉とらずりんごは楽しい
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父と息子
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普通のりんごより甘いよ
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母と息子
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来年にはまた結実
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収穫したりんご

 この陽たまりの中で、家族が収穫に汗を流し、休息にりんごを味わう。
 自然の力の前に、たじろぎながらも、老木のように、しなやかに弛みながら、穏やかに進んでいく。
 匡一さんの名刺の裏に書かれた「おめの、分まで、ほがの枝っこ育てるね。かに」(切られる枝に対して、“お前の分まで他の枝を育て立派なりんごの樹にするから!ゴメン”の意味)
そうして前に進む。

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大蛇のごとく
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匡一さんの名刺の裏

齊藤さんのりんごが買えるところ

有限会社ゴールド農園
住所:青森県弘前市大字下湯口字村元182-3
TEL. 0172-31-3182
http://www.goldnouen.com/

ネット通販:かめあし商店(ゴールド農園EC事業部)
http://store.shopping.yahoo.co.jp/goldnouenn/

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