産地レポート Vol.12:ハトムギ

【生産者の声】福浦営農組合 代表 塚本 弘 さん(中泊町)

写真美肌の素、楊貴妃の愛したハトムギ
健康と美肌に良い作物

昨今、美白や美肌という言葉が、若い女性の間でもてはやされている。その少し前から健康をうたい文句にした食品が出回ってきた。どちらにも、良いとされる食品の中に、ハトムギがある。中国の記録には、かの楊貴妃が愛用していたとある。

ハトムギは、イネ科ジュズダマ属でインド・マレー地区の原産の一年草。
日本には江戸時代享保の頃に伝わり「ヨクイニン」の別名で親しまれ、健康の保持や美しい肌作りに役立ち、胃をいたわり栄養価も高いということで「生命と健康の草」と呼ばれていた。ものの本によれば、脱穀子実をヨクイニンと称するとある。

ハトムギにはタンパク質、カルシウム、鉄、カリウム、ビタミンB2などが豊富に含まれ、成分のコイクセライドには、肌を美しく整える効能があるという。最近の研究では、新陳代謝を促進する、という研究結果もある。

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今年の出来を見る
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楊貴妃が愛したハトムギ
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数珠玉のような実がなる

青森の在来種「中里在来ハトムギ」の栽培

日本での栽培は、東北地方が最も多く、次いで九州、関東、中国・四国と順次している。輸入は、品質上の理由から昭和58年の12.7千トンを最高に昭和61年は 3.5千トン程度に減少している。それ故、以後国産品への依存度が高まっている。

写真中泊町で、ハトムギを30年近く栽培している福浦営農組合(農家数5戸)の代表塚本弘さん。今年は収穫が早く、作業の最終日にお伺いした。塚本さんが栽培しているのは「中里在来」という農水産省も認める固有の在来種。古くからある在来種で未だに栽培されているのは、日本では「中里在来」と岡山県にある「岡山在来」だけだという。

天候に恵まれ、今までにないくらいの出来という。いつもなら、米の収穫の後にハトムギの収穫が始まるのだが、今年は順序が逆になってしまった。

「今年は天候に恵まれたのと、肥料の入りが良いのとで、量・質とも良い。いつもなら、収穫のときは、ハトムギの茎が茶色になっているのに、今年は、青々としている。」

ハトムギは強い風が吹くと、なぎ倒されて、実が落ちるため、刈り取りまで目が離せないという。今年の収穫は、どうやら無事に今日中に終わりそうだという。ハトムギの茎は固い。刈り取った後の茎がニョキニョキと出ていて、転ぶと突き刺さりそうだ。

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今年は天候に恵まれた
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実の重さで傾くハトムギ
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風が吹くと倒れる
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ハトムギ
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今年の茎は
しっかりしてるんだ
写真力強く刈ってい
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刈り取られた茎は硬い
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ハトムギ畑
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今日中に終わる予定

写真昭和57年から、転作作物として始めたハトムギだが、当初は水田に植えたため、作業がやりづらかったという。その後、県の研究機関の協力により、今のように畑地での栽培となった。「何が一番違うって、草丈が違うんだよ。畑地にしたら、グングン伸びて、放っておくと、3mぐらいになるんだ。栽培して一番大変なのが、草取り。畝間の草は機械で取り除けるが、株の根本の草は、全部手で取っていかなくちゃいけない。人手も掛かるので、これが今の悩み。雑草の中でも“へい”には手を焼く。こうしてみても直ぐに分かるよ」と言って、ひときわ高くそびえるそれを指さした。

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ほら!あそこにたっているのがヘイだよ
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雑草のヘイ
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ハトムギとヘイガ混在

除草剤は、年1回だけ。それもあまり効果の無い除草剤だそうで、塚本さん曰く「昔から使われている除草剤だからなぁ、まぁ少しは抑えられるかなぁということだけだ」
肥料にしても、植え付けのときの元肥が一回と追肥として窒素が一回。減農薬どころか無農薬に近い状態。それでいて、病気の発生は一度もないという。
「他県では葉の周りが白く枯れてくる白はがれ病等があるが、ここは全く無い」
それでも、今後は、安全の立証のため残留農薬検査をするという。

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乾燥させたハトムギ
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倉庫
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貯蔵タンク
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水分計
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水分を計ってみましょう
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乾燥後は水分量13%程度に
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手の中で丸い粒が転がる
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外皮を剥いた物
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皮を剥いた状態のハトムギ

塚本さんのハトムギへのこだわり

いつも買っているという東京のご年輩の婦人からは、「絶対にやめないでよ」と電話が入るそうだ。イベント販売で各所を回ったときも、「お陰でイボが直りました」とよく言われるそうだ。

「ハトムギはそんなに高い値段のつくものじゃない。それでも、みんなからそう言って貰うのが嬉しくて・・・。大手のメーカーさんからも引き合いがくるが、そうなれば、中間流通費が入る分だけ、高くなる。それじゃみんな買いにくくなるからな、売らないだ」

福浦営農組合は当初から加工品販売に乗り出した。そのアイデアは塚本さんが考えた。「余ったから加工に回すなんてのはだめ。初めから加工品を考えた栽培を考えなくちゃ」

加工品は全部で7品目。ハトムギの生産量の(約6トン)約半分はお茶に加工される。
遠赤外線焙煎のため、あまりお茶の色は出ないそうだが、成分はしっかりとれるそうだ。これは、化学分析機関に依頼して調べてもらっている。

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東京のお客さんから
電話が入るんだ

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遠赤外線焙煎のお茶

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飲み物に溶かして飲むタイプ
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普通炊飯で炊ける
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あまり甘くないかりんとう
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ハトムギのポン菓子
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ハトムギ入り餅
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ハトムギ入り乾麺
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黒大豆も作っている

転作作物ハトムギとの出会い

写真 そもそも、塚本さんがなぜ転作作物にハトムギを選んだか聞いてみた。

「いやぁ、実は家の父親が、鼻の脇にイボが出来たんだ。昔、“赤本”というのがあってそれにハトムギ(ヨクイニン)が効くと書いてあったんだ。それで田の隅にハトムギを植えていたんだよ。そんなのを見ていたから、これなら、転作作物にできるというので始めたんだ」

塚本さんのお父上が読んでいたという、当時の家庭の医学書「赤本」。「赤本」は正式には「実際的看護の秘訣」という題名で昭和21年に発刊されている。その本の中に、ヨクイ二ンつまりハトムギが効くと書いてあったのだ。

それで直ったのですかと効くと「どうだったかあまり覚えてないんだが、亡くなったときの葬式の写真には無かったから、直ったんでねべか」

印刷も薄くなったその本を、今でも大切に取っている塚本さん。再販本が出ていると、ハトムギの常連客が送ってくれた。新しい本よりなぜか古い本を手にする。手荒く扱うと破けてしまいそうな薄いページを大事そうにめくる。

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赤本新旧
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お父上の話に・・・
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古い本を手に取る
塚本さん
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表紙の下は赤
写真お父様の名前が・・・
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折り目が付いている

「中里在来ハトムギ」は生産者の意地と誇り

写真塚本さんの誇りは、機能性農産物を作っているんだという自覚とお客さんから喜ばれているという事実。今後は、新しい加工品の開発を考えているという。

ハトムギはけっして値段の取れる作物ではない。生産者の中には、高値で取り引きされる作物に次ぎから次へと替えていく人も多い中、塚本さんを中心とする福浦営農組合は、30年近く一筋に栽培してきた。

「中里在来ハトムギ」は生産者の意地と誇りだ。そこにかけがえのない「農業者」の姿が見える。青森の誇りだと思うのだがいかがだろう。

お問い合わせ先

福浦営農組合
〒037-0314 青森県北津軽郡中泊町大字福浦字浦島32
TEl. 0173-57-4735

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掲載日 2007.11.1



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