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産地レポート 〜 生産者の声 〜

地元の小麦で給食パン…特定農業法人鬼楢営農組合(弘前市)

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写真 弘前市北部に位置する鬼沢・楢木地区。ここに特定農業法人鬼楢営農組合がある。
 もともと、りんごと水稲の地域だが、他と違うのは、水田が1ヘクタール区画と大きいほ場に整備されていることと、育苗と刈り取りまでを共同作業、農業機械等を共同利用して、低コストと省力化に努めてきたことだ。

 現在組合員数は、120名、経営面積は、79ヘクタール。環境にやさしい農業に取り組んでおり、平成17年からの米・大豆・小麦は、全て減化学肥料・減農薬の特別栽培農産物。平成18年、営農組合としてエコファーマーの認定を受けている。

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1ヘクタール区画の田
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大型機械が並ぶ

 昨年、鬼楢営農組合は、給食用パン用小麦として「ゆきちから」を作付けした。

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「ゆきちから」を作付け
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春先のほ場

 鬼楢営農組合は、以前から、水稲・大豆・小麦を同時に栽培する「立毛間は種」を行い、大豆→麦→大豆というサイクルで、2年3作体系に取り組んできた。
  「立毛間は種」とは、水稲を作付した後に、小麦をは種させ、翌年小麦収穫前のうね間に大豆をは種させるやり方。10月頃小麦がは種、その頃大豆の刈り取り、収穫前の大豆(小麦)の植わっている条間(立毛間)に小麦(大豆)をは種する。そうすることにより、寒冷地でも、大豆・小麦の連作ができる。 〈※「は種」=播種。種を土にまくこと。 〉

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立毛間播種
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立毛間大豆収穫(おおすず)
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大豆は枯れ、麦が伸びる
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立毛間小麦収穫(ネバリゴシ)

 ただ、今回は確実な収量を確保し、安全に給食用に提供するため、ゆきちからの栽培に1ヘクタールを充てた。収穫量は3420kg。10アール当たり5.8表。製粉して2,100kg。これで学校給食35,000人分となる。
  弘前市内小学校34校(9176人)と中学校1校、青森市の小・中学校58校(27,409人)の給食に供された。
  鬼楢営農組合の地元、自得小学校でも11月12日「エビカツバーガー」として給食に出された。

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給食の準備です
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いただきま〜す。
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ゆきちからのパンはエビバーガーで
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自得小学校:須藤校長

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ゆきちから

 ゆきちからは、平成18年に県に初めて導入されたパン用硬質小麦。
  それ以前には、ネバリゴシ等の麺用小麦の栽培は行われきたが、品種により特性が違い、それぞれ栽培方法が違うため新しい品種には手を出しにくいのと、農業団体や小麦の流通業者からは「は種前契約しているネバリゴシの契約出荷数量が満たされていないのに、ゆきちからの栽培面積は増やせない」との意見が出され、栽培には消極的だった。

 しかし、県の努力もあり、五所川原・中里・鬼楢と、ゆきちからの栽培面積が20ヘクタール以上に増えたため、平成18年度に第1種認定品種なった。その上、今回の県給食会との取り組みもあり、栽培に弾みがつくこととなった。鬼楢生産組合では、今年度22.5ヘクタールに作付けした。
 因みに「ゆきちから」は穂が白いことから付いた名前。雪溶けと共に勢いよく伸びてくる力強さを思わせる名前は、積雪地帯の青森にはあっている。

  5月、ゆきちからの収穫前に鬼楢営農組合とJAつがる弘前、県、学校給食会との話し合いがもたれた。予想収穫量の報告がされ、価格面でも話し合われた。地元の物を子供達に食べさせたいとの気持ちは、親も給食関係者も想いは同じだが、給食費との兼ね合いもあり、コスト面でなかなか難しいのが現状。

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関係者会議
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想いは同じだが…
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ほ場の視察
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 生産費だけでなく、収穫した大量の小麦を粉にするための製粉代が係る。大手の製粉業者は県内には無い。そのため、岩手県まで送らなくてはならない。その流通経費も掛かる。それでも、両者の想いで今回、学校給食に供された。

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関係者
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鬼楢営農組合の下山さんと鳴海さん
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うん。やっぱり嬉しいな。
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給食用パン

 給食用パンを作った工藤パンによれば、ゆきちからは今まで使っていたパン用小麦と膨らみ具合等の扱には、特段問題もなく、十分使えるという。
 給食当日をむかえた学校では、事前に学級担任からも今回の「地元産パン用小麦ゆきちから」の説明がされ、学校放送でも、紹介された。地元でもパン用小麦が作られていることを初めて知った人は多い。

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今日のメニュー
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美味しい!
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先生が給食の説明
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下山さん

 鬼楢営農組合の下山さんは、地元の学校給食への提供ということに、「今年は鬼楢の当たり年だ」と喜んでいる反面、今後も給食用に作付けできるか、価格面での心配もあるという。「そりゃ、嬉しいことだけど、生産者が持続的に生産できるのか心配だ」という。持続可能な再生産は、実需者である消費側の理解も必要だ。

 国内の食料自給率は相も変わらず、約40%。パン用小麦に至っては、99%が輸入。せっかく良きスタートを切ったのだから、何とか続けていってもらいたい。


[お問い合せ]

特定農業法人 鬼楢営農組合
青森県弘前市大字鬼沢字後田1−1
電話 0172-98-2860

 


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