マーケティング情報


消費地レポート

第97回

独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ) 
青森所長 奥 貴史 氏

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【奥 貴史 氏 プロフィール】

埼玉県出身、1996年ジェトロ入り。
2013年7月より、ジェトロ青森貿易情報センター所長。
駐在歴は、盛岡貿易情報センター所員、ダルエスサラーム事務所長(タンザニア)
東京本部では、途上国貿易開発部(ODA事業等)、市場開拓部輸出促進課、農林水
産・食品部に在籍。

10月と12月に渡り、農林水産物の海外販路について伺います。
今回は、青森県の輸出産物の現状と海外輸出に関する規制制度・留意点について、また、次回12月は、青森県が今年から取り組んでいる海外輸出への新しい試みA!プレミアム等やジェトロのサポートについて伺います。



 ジェトロは日本の貿易振興機関として、青森県産品の輸出に取り組んでいますが、国内少子高齢化もあり、県内企業や生産者も海外への意識は少なからず高まっているのを感じます。
 輸出は国内取引と違い外国との取引のため、制度(為替、規格・規制含む)・文化(言語、食習慣、嗜好含む)・インフラ(物流含む)などの違いに留意しなければならない難しさがあります。
  また外国の制度に関しては、相手国との政府間交渉や、県の設備等認可・管理なども必要で、輸出の取組は場合により国を挙げた複合的な取組みになります。
政府は農林水産物食品の輸出額を2020年までに1兆円規模とすることを目指している中で、2014年は6,117億円、2015年には7,000億円超えが見込まれています。青森県はその大きな一翼を担う中で、輸出についての現状と取り組む上での留意点について紹介します。


青森県の貿易~2014年の青森県貿易概況~ ジェトロ青森貿易情報センター
(グラフ画像をクリックすると拡大画像が開きます。)

青森県産農水産物(以下、加工品含む)輸出

 2014年の青森県産農水産物輸出は、ジェトロ青森調べ(以下同様)で156億円、その内りんごと水産物を合わせて全体の94%弱を占めました。
りんごは、青森の代名詞でもありますが、2014年に青森産は約2万トン、約70億円(前年比13.5%増)を輸出していました。
りんごは、日本全体では通関統計上で約2万4千トンの輸出であったことから、輸出の8割は少なくとも青森県が担っていたと言えます。その輸出先は、台湾向けが80%、香港向けが15%程度を占め、両者合わせて95%を占めることから、両地域が最重要市場であるといえますが、リスク分散のためにそれ以外の地域にも販路を広げの輸出先の多角化も課題になっています。
  一方の「水産物」は約76億円(前年比13.5%減)で、主な魚種(とその加工品)は「ホタテ」、「サバ」、「スケソウタラ」、「イカ」、「ナマコ」などが挙げられます。水産物は、春先の異常低水温で漁獲量が安定しない、あるいは小ぶりのサイズになり、輸出向けの原料を確保できず、円安基調を十分活かしきれなかったことが前年減の要因として挙げられます 。

りんご

ほたて

ながいも

なまこ

干なまこ

マイカ




規制制度、留意点の一例

 海外への輸出は、どの国とも日本と同じように取引できるわけではなく、「何が」どの国に輸出できるのか、まずは制度的に確認する必要があります。青果物等であれば、植物検疫所のHPに輸出可否の早見表があるので参考になるかと思います。
 また、輸出については細かい検疫条件も留意しなければなりません。基本的には農林水産省やジェトロ、厚生労働省などのHPでも確認することができます。
 検疫条件の一例ですが、例えば2015年9月にベトナム向けに日本産りんごが輸出できるようになりましたが、その条件の一つに、りんごは有袋栽培されたもので、輸出する生産園地のベトナム側による検査と登録が求められています。その生産園地で生産されたりんごしか出荷できないことになります。
 なお、ベトナムと日本は、2009年10月に経済連携協定が発効し、対リンゴへの関税(20%)が2019年には段階的に0%になることになっています。しかし、2011年にベトナムは、日本を含む植物由来食品輸出国に対して、「輸出国登録」や、病害虫の危険度評価を求めるようになり、以降輸出が出来なくなっていました。関税が下がっても、植物検疫など他の規制等で輸出が止まってしまう場合もあるので注意が必要です。こうした植物検疫上の措置は国により異なっており、より有利な条件を求めていく上で政府間交渉は不可欠です。
また、中国向け輸出では政府作成の放射能検査証明書及び産地証明書が求められるものの、りんごを含む果実や野菜などについては証明書様式に係る政府間協議が整っておらず、正式な輸出が出来ない状況にある一方、水産物については同書式が整い輸出できるなど、品目別に対応状況が異なっていることがあります。
 青森県産水産物は、2013年9月に韓国により輸入禁止措置が講じられており、現在WTOで同措置の解除を求めて政府が韓国政府に提訴しています。
 ジェトロでも海外バイヤー商談会で、コロンビア企業と県内企業が成約直前まで行ったものの、日本と合意していない衛生検査証明書をコロンビア側から求められるなどして、
輸出が出来ていない状況もあります。
  また、EU向けに水産物加工品を輸出する場合は、EU基準のHACCP(ハサップ)認定工場からしか出荷できませんが、原料もどこから獲ったか分かるよう漁船や養殖場などをEU向けに登録することが必要で、その登録や管理に当たっては、所管県庁の役割も不可欠になっています。

※HACCPとは、直訳すると「危害要因分析と重要管理点」、生産工程で危害の発生防止を講じ、記録するもの。

輸出に向けてどこから手をつけたら良いか

  上述はあくまでも一例ではありますが、マーケティングや規制情報などは、上述のHP等でも整理されています。ジェトロ青森(017-734-2575)にもお気軽に電話相談いただければ幸いです。

以上

【参考HPの一例】

 



情報掲載:2015年10月15日



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