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消費地レポート

第85回

フリーアナウンサー 遠田 恵子 氏

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【遠田 恵子(えんだ・けいこ)さん プロフィール】

 青森県六ケ所村出身。(株)青森テレビアナウンサー、米国テネシー・ブラントカウンティ日本語補習授業校教師、ロサンゼルス・ラジオパシフィックジャパンアナウンサーを経て、フリーランスに。帰国直後の1997年から15年間に渡り、NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」キャスターをつとめ、朝の声として親しまれる。現在は、NHKラジオ第二放送「聞いて聞かせて」を担当する他、CS放送ニュースアナウンサー、イベントやシンポジウムの司会、ナレーションなど幅広く活動。また、フェリス女学院大学、桜美林大学などで音声表現やスピーチ・コミュニケーションの授業を担当するほか、GCN(ジェンダー&コミュニケーションネットワーク)メンバーとして、メディアにおける女性の労働環境改善、地位向上に関する調査・研究にも参加している。2003年度日本女性放送者懇談会会長。



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青森県産品PRキャラクター
「決め手くん」

 じぇじぇじぇ!のフレーズとともにいまや全国区になった、お隣・岩手県のまめぶ汁。ひこにゃんやくまモン、青森の決め手くんといった人気者を生みだした全国のゆるキャラブーム。このところ、何だか地方から吹いてくる風が熱い!地域の風土や伝統に根ざした豊かな郷土食と、何とも言えない温もりあふれる方言を操る魅力的な人々。これこそが東京にはない、地方の最大の強みだと私は思う。

 何を今さら・・・という声が聞こえてくるような気もするが、昔から私たちの暮らしの中に当たり前にあったものが、外から見ればこの上なく新鮮で、興味深かったりする。青森で言えば、例えばせんべい汁。醤油味の鍋の中にせんべいを入れるという発想と意外な美味しさが受け、いわゆる"B級グルメ"を代表する食べ物となった。例えばじゃっぱ汁。鱈をまるごと使ったこの料理は、食材に感謝し一切をムダにしないという人々の堅実さを表している。単に美味しいというだけでなく、その郷土食に込められた歴史や生活の知恵といった情報に触れたとき、その味わいはいっそう深くなる。そしてその情報は、人から人へと直接語られた時に「付加価値」となってさらなる力を持つのではないか、と私は思う。

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せんべい汁
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じゃっぱ汁

 私がそうした思いを抱くようになったのは、青森テレビで働いていた、いわゆる"女子アナ"時代のこと。取材で県内あちこちを回り、人々の営みに触れたことが大きい。それまで「知識」として何となく知っていたことが、生身の人間を通すと俄然立体的になることを知った。標準語にはなかなか置きかえられない方言の奥深さに気づいたのもこの頃だ。津軽のりんご園で収穫の体験リポートをした時のこと。園主に「までにもいでな」と言われた。私の生まれたところでも「まで」という言葉は使うので、その意味は知っていた。だからツルの部分を「丁寧」にねじってもいだ。園主は、「悪ぐないけど。こうして、もっとまでに。」と言いながら、りんごの実を下側からそっと持ち上げ、手首のスナップをきかせつつもいでニコッと笑った。園主の言う「までに」は、ただ丁寧にということだけではなく、優しく愛情をもってという意味合いまで含まれる。自身が育てたりんごへの愛おしさが伝わり、「までに」暮らしているその人の生活風景が浮かんだ。

また、私は当時「なまるが勝ち!」という番組を担当していた。同じ青森県でも、津軽と南部それに下北という地域の別によって、使い方や発音の仕方がまるで違う言葉の意味や由来を地元のタレントさん(黒石八郎さん・瀬川さとしさん)の突撃インタビューとスタジオの解説で紹介するもので、タイトルどおり青森の訛り言葉の魅力に気づこうという趣向。地元の言葉でありながら毎回新たな発見があり、視聴者から大きな反響が寄せられた。

 つまりはそういうことだ。日頃何気なく使っている方言や食べているものが、あらためて向き合ってみると実はとてもユニークで、それが地元の人を介した時にさらに魅力的になる。インターネット全盛のこの時代。誰とも会話しなくても何でも手に入るこの時代だからこそ、人と人との出会いにこだわりたい。売る方も買う方も、数字やデータには表出し難い人の温もりや地元ならではの生活感にこだわってほしいと思う。

 先日渋谷で、雑誌の街頭インタビューを受けた。お題は「女性が話して可愛いと思う方言はどれか?」。選択肢には、「京都弁」や「博多弁」と並んで「岩手弁」があった。「これも『あまちゃん』の影響かぁ、オシイなぁ…」と思いつつ、「東北弁!」と答えたら、やんわりと「岩手弁ですね」と訂正されてしまったが(笑)、方言がいろんなかたちで注目されていることを知る出来事だった。

 余談だが、私の実家は小さなお菓子屋。りんごや長芋など地元産を使って、兄が洋菓子を、姉が和菓子をコツコツと作っている。手前味噌で恐縮だが、きょうだいの実直な人柄が現れた、真面目な?味である。青森県のりんごスイーツコンテストで入賞した「雪下りんごパイ」などをもって時に首都圏の催しに出店、微力ながら「青森のうまいものたち」を全国に届けようと奮闘している。もちろん、言葉と思いを添えて。


お菓子の秋月
青森県上北郡六ヶ所村泊村ノ内90
http://www.syuge2.com/

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3層のチーズケーキとしゃきしゃきりんご
「雪下りんごパイ」

情報掲載:2013年10月15日



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