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消費地レポート

第59回
特定非営利活動法人 東鳴子ゆめ会議
理事長 大沼 伸治 氏

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【大沼 伸治 さん プロフィール】
1986年立教大学社会学部観光学科を卒業後、伊香保温泉「福一」で修行。 現在約百年続く湯治宿、株式会社大沼旅館・五代目湯守。 2003年より「東鳴子ゆめ会議」を立ち上げ、伝統の湯治をベースに垣根をはずした一体型の地域づくりに取り組んでいる。 2005年度、全旅連「人に優しい地域の宿づくり賞」で最高賞の厚生労働大臣賞を受賞2008年 自身が理事長をつとめるNPO法人東鳴子ゆめ会議が地域づくり総務大臣表彰を受賞した。


 大沼氏は、旅館業の傍ら、地域活性化にも取り組み、1500本の竹灯籠を街中に飾る「光の盆」、生活力を活かした「現代版湯治入門 東鳴子温泉3日分モニターツアー」の実施を実施。また、山とまちと人をつなげる「縁台なる計画」(山林の伐採~縁台づくり活動)として、山林を活用した体験学習や、通年の田んぼ作業と湯治をつないだ「田んぼ湯治」などを行っている。2004年度、国土交通省「観光とITに関する調査研究委員会」の委員を委嘱。観光分野のIT活用にも力を注いでいる。
 2005年と2006年は新しい湯治を提案する初のロングランイベント「GOTEN GOTEN 2005~2006 アート湯治祭」を開催しアートや音楽と「湯治」を融合させ、新しい湯治の可能性を模索し活動している方です。
 その大沼さんからお話しをお伺いしました。

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 この夏、初めて経験した酷暑が一息ついた9月上旬、青森県から観光ビジネス創業支援講座での講師のご依頼を受け、十和田市に向かった。十和田市を訪れるのは初めてだった。「新幹線はやて」で八戸まで行き、乗り換えて経由地の三沢まで。JR三沢駅に隣接する十和田観光電鉄の駅舎をくぐったとたん、仕事モードはどこかへゆき、頭の中で「みちのく一人旅」が流れ出した。時とともにレトロな風合いとなった待合空間に居酒屋風の小さな食堂があった。昼というのに、すでに杯を傾けている地元客らしい姿がちらほら。「隅の席にちょこんと座り、このあたりの方言に包まれながらお酒を飲んでみたい」と思わずそんな衝動に駆られた。観光の語源は、「その国の光を観ること」だそうだ。何を「光」と感じるかは人それぞれ。十和田電鉄の待合室に流れる日常の空気感。それは過去から未来へそこに住む人とともにゆったりと流れてゆく。私にとって、どこに行っても似たような風景が立ち並ぶ観光地より、知らぬ土地の日常こそが新鮮で懐かしい。

 現代において、「湯治」という言葉を知っている人は、年寄りのすること、医者で治らない人が行くところ、といったどちらかというと古くさい、あるいや療養的なイメージを持っている場合が多い。若年層に至っては意味どころか、読み方さえ知らない人も増えている。私たちは、そんな時代の隅に置いてゆかれそうな「湯治」を、現代の人にも親しんでもらおうと、あれやこれやとここ数年取り組んでいる。

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紅葉の鳴子峡
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旅館大沼 母里の湯

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なるこごてんゆ・こども旅館
 十和田市には近頃、「十和田市現代美術館」ができ、まちと現代アートをつなぐ試みがなされているが、私たちの東鳴子温泉でも、ここ数年湯治場を舞台に現代アートのアーティストが作品の製作展示を行っている。湯治場の日常に溶け込んだ作品達は、なんとなく湯治客風情を思わせて面白い。今年は、地元の子どもとアーティストが一緒になって、今は使われていない旅館の別館を秘密基地に改造した。時代を刻んだ建物が子どもたちの手によって息を吹き返したのは嬉しい出来事だった。

 また、私たちは離農や減反によって増える一方の遊休農地を活用し、大豆作りをお客様と一緒に行っている、土仕事でかいた汗を、温泉でゆったり流してもらう取り組みで「地大豆湯治」と名付けている。都会からのリピーターが多い。

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地大豆湯治@鳴子温泉郷

 東北の各地には、それぞれ異なる風土と刻まれた歴史がある。その堆積の上に今の私たちがあるということを忘れずに未来へ歩みたいと思う。


情報掲載:2010年11月15日


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