マーケティング情報


消費地レポート

第52回

野菜ジャーナリスト 篠原 久仁子 氏

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【篠原 久仁子 さん プロフィール】
茨城県出身。大学卒業後、大手テレビ制作会社へ入社。報道・ドキュメンタリー番組の企画演出を手がける。2007年より、拠点である東京と祖母の暮らす長野県蓼科を行き来する生活を始め、そこで野菜果物と共に生きるしあわせに気づく。現在は、「野菜ジャーナリスト」として活動。野菜ソムリエの資格を持ち、野菜果物の魅力、野菜果物に係る方々の想いを伝えるべく、取材活動を行う。講演、執筆、メディアへの企画提案などを通し、野菜果物にまつわる物語を伝えている。


 都内では、マルシェ(市場)や食育講座などが次々と開催され、にぎわいを見せている。食材を、知って 楽しみたい人が増えていると感じる。しかし、情報も機会もあふれる消費地・東京で、数ある選択肢の中から選んでもらうためには、「なぜ青森なのか?」に答える必要がある。これはメディア戦略としても重要だと思う。
 ポイントとなるのは、その時期に、そこでしかできない、という「期間限定」「希少」感だ。答えのひとつを「冬の青森」に見つけた。

 黄金埼農場主催のイベントにアドバイザーとしてお招きいただき、1月末の津軽地方を訪れた時のこと。雪中人参の収穫体験を通し、食材の背景を知る機会をいただいた。深浦の圃場に着いた瞬間の感動は忘れられない。見渡す限りの銀世界、左奥に白神山地、右奥に日本海・・・

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黄金崎農場
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雪中人参収穫体験

イメージ さっそく雪と土を掘り起こすと、顔を出すのは、まぶしいほど鮮やかな人参。一瞬、寒さも忘れるが、すぐに手袋をした手が凍てついてくる。そこで感じたのは、雪中人参の生命力と収穫してくださる方への感謝。収穫体験の後、いただいた絞りたて人参ジュースの深い甘み、すっきりした香りはいとおしくさえ感じた。

 農家さんにとって、厳しい寒さは過酷な現実かと思うが、逆手にとって武器にしてほしい。追体験し、農家さんの苦労を知ることは、食材への敬意につながる。そう、収穫体験などを通して、農産物の魅力を伝えるなら、冬こそチャンスだと思う。 絶景下での雪中人参収穫は青森でしか得られない体験だから。それが、青森を選び、産品を手にする理由になる。

イメージ ただ、収穫体験は、農家さんへの負担がかかるということも事実。圃場に入る際の心得を周知するなどの工夫をし、相互理解も深めたい。そうすることで、より長く続き、作り手のこころも満たせる関係づくりができると思う。
  体験をさせていただいた黄金崎農場からは、「割れたりで、圃場に残されたままの人参を、篠原さんたちが『もったいない』と何度も言っていたのが印象的で気付きがあった」と言っていただいた。慣れてしまったことを再認識するきっかけになり、新たな宝の発見にもつながる可能性を信じたい。

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食する会
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冬野菜を使った料理
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冬野菜の胡桃和え
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りんごのシロップ煮と干し柿のしそ巻き

 最後に白状すると、実は私、もと野菜嫌い。人参は、未だ得意ではなかった。しかし、雪中人参に出逢ってから毎日いただいている。感動した想い出の宿った食材にはまた手が伸びる。
 自身の体験をもって強く想う。


情報掲載:2010年4月1日


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