マーケティング情報


消費地レポート

第51回

オイシックス株式会社 代表取締役社長 高島 宏平 氏

「食関連ネットビジネスの展望と未来の起業家へのメッセージ」

(元気あおもり起業家交流セミナー2010基調講演)

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【高島 宏平 さん プロフィール】
神奈川県生まれ、東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了後、外資系経営コンサルティング会社のマッキンゼー東京支社に入社。2000年5月までEコマースグループのコアメンバーの一人として活動。 2000年6月に「一般のご家庭での豊かな食生活の実現」を企業理念とするオイシックス株式会社を設立し同社代表取締役CEOに就任。生産者の論理ではなくお客様の視点に立った便利なサービスを推進している。

《オイシックス株式会社》
有機栽培や農薬を極力使わず栽培した野菜などを取り扱う食品宅配専門スーパー「Oisix」を運営。「自分の子供に食べさせられる食品」をキャッチフレーズに、独自の安全基準をクリアした商品で事業を展開している。


 私、多分、小学生の頃ねぶた祭を見たことがあるんですが、それ以来、もう20年以上ぶりに青森に来ました。今回、東京を出る時も寒くて、しんどいなと思っていましたけど、青森はやはり桁違いの寒さです。
 皆さんにちょっとお伺いをしたいのですが、オイシックスって御存知だった方って、どれぐらいいらっしゃるかちょっと教えていただいていいですか。
 すごい多いですね、本当ですかね。ありがとうございます。
この中でオイシックスを召し上がったことのある方、どれぐらいいらっしゃいますか。オイシックスの食べ物。
 なるほど。やっぱり、かなりアウェイな感じがしますね。はい、分かりました。ほとんどの方が召し上がったことがないということですね。
 まずオイシックスの説明をさせていただきます。どういうビジネスをしているのか。その上で、特に立ち上げの頃どういう思いをもって立ち上げて、どういうことが分かったのかという立ち上げの頃の話を簡単にさせていただければと思います。


オイシックスとは

イメージ まず会社の説明ですが、「より多くの一般の家庭にできるだけ豊かな食生活をお届けする」というのが、私達の企業理念です。「私達は生産者の論理ではなくお客様の視点に立ち」というふうに書いてあります。
 私達のいる、いわゆる自然食品業界というのは、生産者支援というようなポジションの方々しかいないような業界だったんです。日本の農家を守るという運動体からスタートしています。安保闘争ということをやっていた方が、次は日本の農業を守るということで立ち上げた団体さんというのが非常に多いのですが、その農業を守るという視点のサービスが、非常に消費者視点というよりは生産者視点なんですよね。具体的に言うと、何が届くか分からない野菜セットというのがベースになっていたり、それを毎週毎週、継続的に定期的に購入しないといけないとか、あるいは年会金、入会金を払わないとそのサービスを受けることができないとか、あるいはお届けする時間は都合のいい時間にお届けをするので、お客様にとっては指定することができないとか。そういった形で、生産者には優しいんだけれども一般の消費者にとってはちょっとハードルが高いというのが一般的なサービスでした。
 「お客様の視点に立ち」というのは、本当はどのビジネスをやる上においても、わざわざ書くまでもないぐらい非常に当たり前のことではあるのですが、この自然食品業界というところではそういうのが当たり前じゃなかったというところがあります。
我々のコンセプトは全く逆でして、できるだけ簡単に安心で安全でおいしい食生活を送りたいという、ごく普通の方々に喜んでいただけるようなサービスをしていこうというのが私達のコンセプトです。
 具体的には、1個1個商品を選べるようにするとか、入会金・年会費不要、お届けの日時指定ができるなどをサービスで実現しています。
 何を売っているかということですが、今は全部で2,600品目ぐらいが常時販売されています。野菜が200品目ぐらい、それからその他加工品、肉もお魚も加工品も冷凍食品もスイーツもお酒もペットフードもやっています。1個1個細かな基準があります。添加物がどうとか、遺伝子組み換えの原料が、餌がどうだとか、もちろん農薬の基準がどうとか、細かな基準はありますが、基本的な考え方というのは「作った人が自分の子どもに食べさせることができる」物だけを売るというコンセプトを持っていまして、このコンセプトに合致した物を販売していくというふうにしています。
 加工食品に関しては、食質監査委員会という第三者チェック機関を設けています。これは私達が売ろうとしている物が本当に売っていい物かどうか、私達が売っていいという基準を満たす商品であるかどうかを第三者の方々にチェックしていただいて、この先生方が「売っていいよ」と言わない限り、いくら我々が売りたくても売れないという仕組みを取っています。
 私達はあまり食の安全性みたいなことで他社と差別化をしたいとか思っていなくて、食を扱う限り、食が安全であることはもう大前提というか当たり前。でも、その当たり前を担保することはしっかりやっていきますというような感じです。
 当社にお越しいただくお客様には食が安全かどうかとかは、一切考えないで、食べたい物とか必要な物を楽しくショッピングしていただける、そういうお店を作っていきたいなと思っています。


メディアとのコラボレーション

 例えば、メディアとのコラボレーションということで、いくつかの雑誌と組んで、共同で商品を開発などをしています。それから、スープストックトーキョーさん、レストランで非常に人気のあるスープのレストランなんですが、そこと組んで当社で非常に人気な野菜を使ってスープストックトーキョーさんのレシピでスープを作っていただいて、できたものを両者で同時に販売をするというようなこともやっています。これは非常に両者共に人気がある取り組みになっています。こういうようなことも含めて、安全性を担保するのですができるだけ面白い売り場を作っていこうというのが当社の商品開発の特徴というふうになります。


販売方法

イメージ それから売り方ですが、大きく2つのチャネルで販売をしています。1つがインターネットあるいは携帯電話での販売です。これが売上の9割ぐらいになります。それからちょっと変わったチャネルとして、牛乳宅配店さんを通じてということをやっています。これは町のいわゆる瓶の牛乳を届けているようなところと組んで、非常にアナログな世界なんですが、牛乳屋さん、牛乳の瓶を朝持っていくのですが、その時に当社のチラシも一緒に持って行っていただいて、そこの裏面が注文用紙になっていて、牛乳を飲み終わると瓶を返すのですが、その時に注文用紙も一緒に返していただきます。そうすると牛乳屋さんがそれを回収して、また翌週に牛乳を持っていく時に今度は当社の食材も一緒にお客様にお持ちすると。月末に牛乳の代金を回収する際に当社の食品代金も回収するというようなことをやっています。今、大体全国で400店舗ぐらいの牛乳屋さんと組んでこういうことをやっています。
 インターネットのお客様で一番多いのが30代の小さなお子様のお母様です。一方、牛乳屋さんの方は大体60代、70代の方々がメインのターゲットになっています。インターネットではなかなかリーチすることができない方々を対象にそうしたサービスもやっています。食品の安全基準はどっちも同じ基準でやっています。

 私達は、やはりお客様との接点の中で非常に消費者の方が何を求めているかということが分かりやすいので、それを私達が作り手の方々に伝えることによってできるだけ自分にとっておいしいのではなくてお客様が喜んでいただくような物を生産者の方と一緒に作って行けるようなことをやるのが私達の役回りなのかなというふうに考えています。


元気あおもり起業家交流セミナー2010 基調講演より
平成22年1月15日(金)於 青森グランドホテル

情報掲載:2010年3月1日


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