マーケティング情報


消費地レポート

第19回
「首都圏における農水産物の消費動向」


株式会社ナチュラルアート
 代表取締役 鈴木 誠 氏

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【鈴木 誠さん プロフィール】
青森県生まれ。青森県立青森高校出身。昭和63年慶応大学卒業後、東洋信託銀行入社。銀行にて、ベンチャー投融資、上場関連業務を担当。平成10年、銀行を退社し、慶應義塾大学院経営管理研究科(ビジネススクール)に入学。平成13年、プライムホールディング株式会社(経営コンサルティング)設立。その中で、農業分野と関わりが深くなり、その集大成をすべく、平成15年株式会社ナチュラルアートを設立。現在に至る。

【 株式会社 ナチュラルアート 】
農業生産者のネットワーク化・農業の生産分野拡大を目指し、農産物の販売や農業経営支援などを行う会社。生産現場と流通構造における新たな販売スタイルとなるビジネスモデル構築を目指し、変革を試みている。都心に展開している「なちゅらる・あーと一番町店」には、 栽培方法にこだわった産地直送の農産物などが並び、“都会の産直市場”として人気が高い。

(なちゅらる・あーと一番町店) (イートインコーナーも併設)

株式会社ナチュラルアート ホームページ http://www.naturalart.co.jp/



国産モノ信仰の高まり

首都圏における消費者の多くは、地方同様スーパーマーケットを中心に、農水産物を購入している。これまでのスーパーマーケットはELP(エブリディ・ロー・プライス)を合言葉に、世界中の低価格の農水産物を仕入販売するというのが一般的なスタイルであったし、消費者もそれを受け入れていた。

しかしながら、昨今は海外モノを中心に、産地偽装や残留農薬問題など、消費者を裏切るような事件が頻発し、結果として国産モノ信仰(特に野菜)が急速に高まった。

中国経済の台頭も、日本人の食生活に大きな影響を及ぼしている一因だ。世界中の食料が世界最大の胃袋を持つ中国に流れ、結果として日本国内での食品相場が上昇し、また日本では入手困難な食品も増えてきた。日本固有の農作物だと思っていたものが、実はほとんどが中国から輸入しているというものもあり、中国が輸出しなくなると日本国内に流通しないという現象が生じる。

中国の市場

ストリートレストラン 回鍋肉

温暖化を背景とした異常気象も避けては通れない重要課題だ。農水産物には本来は旬があった。しかし異常気象のため、これまでのようにある程度決まった時期に決まった量が供給されなくなった。その結果、価格も乱高下することになった。このような様々な要因の下、好むと好まざるとに限らず、日本国内消費動向は、国産モノを中心とした再構築の途上に直面している。


商品の評価は様々な角度から

消費者の農水産物に対する意識は明らかに変わった。消費者は、海外モノのみならず、安い商品に対する不信感を募らせる結果となった。安いモノには、当然ながら安い理由があることを。

またメディア等の影響を背景に、この数年健康ブームが巻き起こった。そしていまとなってはもはやブームではなく、健康意識が完全に定着した。

農水産物にはどのような栄養素があるのか?それはどこでどのように生産されているのか?物流はどうなっていて鮮度はどうなっているのか?扱っている業者は信用できるのか?表示は信用できるのか?いろいろなことに対して消費者の意識が高まった。言い変えれば、これまでスーパーマーケットの看板を信じ、深く考えずに買い物をしていた消費者が、様々な角度から商品を評価するようになった。

青森県産りんごジュース
(なちゅらる・あーと店内)

青森のジュース類
(なちゅらる・あーと店内)

青森県産海産物
(なちゅらる・あーと店内)


農水産物を取り巻く環境・問題

また身近な生活の中でも、アレルギーの子供たちの急増、ミネラル不足が要因と言われている俗に言う、キレる若者の急増、メタボリック症候群の中年の急増、国民の多くが糖尿病予備軍であるという現実、枚挙にいとまがないほど、食事が大きな要因と思われる社会問題が拡大している。そして消費者はそのことを既に理解している。つまり農水産物の買い物とは、単なるご飯のおかずを買っているというシンプルな時代は終わってしまったのだ。

食の安全安心志向が急速に高まってきているなか、残留農薬問題や産地偽装表示問題などの法令違反は論外として、法令の範囲内としても化学系農薬や肥料の使用問題、また農水産物の加工食品に過剰に付与されている添加物問題、それらが健康に与える悪影響の大きさに怯え、様々な意味で食の環境は消費者がとても許容できない壁にぶつかっている。このように農水産物を取り巻く環境は、問題点が山積しているわけですから、当然に消費動向も変化してくる。


品質重視型消費者の割合が増加

消費者は、当然ながら安くて高品質の商品を求めている。一方で安くて高品質なものが少ないことも理解している。モノの道理に合わないからだ。つまり良いものは少々値段が高いのが当たり前という認識ができつつある。少々高くても良いものを購入するというパターンになってきた。もちろん消費者全員がそのようになったわけではない。しかしこれまで価格重視型消費者がほとんであったが、品質重視型消費者の割合が急増していることは間違いない。食は単に空腹を満たすものではなく、消費者の生活を豊かにするものですから、このような品質重視の姿勢は好ましいことだと思う。

一方で核家族化、少子高齢化、お菓子やインスタント食品など農水産物代替食品の拡大などで、農水産物の消費量は減少している。農水産物の平均単価は上昇傾向に向かうとしても消費量は減少する一途となり、市場規模としては、今後の拡大は期待できない。
 
これからの消費者は、ますます本物志向が高まり、品質がどうかということを前提に価格の選別に入ってくる。これまでのように価格ありきで品物を選別する時代は変化を遂げる。よって今後の消費動向により大きな影響を与えるのは「情報」である。


なちゅらる・あーと
一番町店

なちゅらる・あーと内の
イートインコーナー

店内では素材にこだわった
食事ができる

栽培方法にこだわった
産地直送の農産物が並ぶ

青森県産の調味料類

青森ひば製品


情報掲載:2007年5月1日


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