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消費地レポート 株式会社スズノブ 代表取締役 西島豊造 氏

第111回

株式会社スズノブ 代表取締役 西島豊造 氏

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【西島豊造 氏 プロフィール】

北里大学獣医畜産学部畜産土木工学科卒業後、財団法人北海道農業近代化コンサルタント(現:一般財団法人北海道農業近代化技術センター:農業土木コンサルタント)に勤務。
その後、1988年9月に、家業の米屋「株式会社鈴延商店」を継ぐ。
五ツ星お米マイスターの資格持ち、新しいお米の時代を作っていきたいという考え方から作り上げた、独自プロジェクトSuzunobu Project Riceを活用しながら、産地と消費者をつなぐパイプ役として、多くの生産地の、産地の特徴を活かした地域ブランド米作りと地域活性化を手伝っている。
大学時代に得た「土」の知識、北海道で得た「農業土木」の知識、産地を回ることで得た知識、歴史から紐説いた知識など、膨大な米に関する知識を活かし、お米のソムリエ、お米博士として、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などに多数出演しているほか、新しい米の売り方、料理や食生活にあった米品種の選び方、食べ方の新提案を広めるべく活躍しているほか、調理師学校の日本料理科の講師もつとめている。

株式会社 スズノブ
 代表取締役 西島豊造(五ツ星お米マイスター 認定番号504-13-077)

主要農作物種子法廃止後の懸念
近年お米を取り巻く環境は大きく変わり始めている。
北海道「ゆめぴりか」山形県「つや姫」から始まった各県の新品種を使った消費地をターゲットにしたブランド米が続々と誕生してきているが、皆さんは、この10年間で誕生した品種をいくつ知っているだろうか。

佐賀県「さがびより」熊本県「くまさんの力」福岡県「元気つくし」宮城県「東北194号」福島「天のつぶ」茨城県「一番星」「ふくまる」栃木県「新之助」、石川県「ひゃくまん穀」が加わり、さらに今秋に福井県「いちほまれ」、富山県「富富富」、山形県「雪若丸」、宮城県「だて正夢」が加わり、お米歴史上最大で最後のお米戦国時代となっているのである。
新品種が生まれる理由は、食生活の多様化、少子高齢化などを背景に、お米の消費減退が続き、産地も高齢化、担い手不足、地域衰退が止まらず、生き残りをかけた産地間競争が激しくなっている事、お米の政策転換により、戦略品種の開発に一層拍車がかかった事などがある。
しかし一方で、ブランド米を目指し過ぎた結果のしわ寄せ、補助金目当ての飼料用米の拡大によって、業務用米の不足という大問題も出てきてしまった。
さらに、品種が多様化した事で、コシヒカリだけがブランドではなくなり、消費者のお米選びに幅が出来て、お米は主食から嗜好品へと変化していっている。

 減反解除で田んぼに余力が出て、消費地も変化しているとなれば、自分で色々な品種を栽培して、JAに頼らず、全て自分で販売してみたいという生産者も多くなってくるだろうが、そのリスクが、想像以上に高いという事を知っておいてもらいたい。
主要農作物種子法の廃止により、県の奨励品種や選択品種については、地方自治体やJAが管理責任を持つ事になるが、生産者が勝手に栽培している、奨励・選択品種になっていない品種や、種子更新していない種子を使って栽培している品種について、どう対処したらよいのかという問題が出ている。

 

例として、既に流通させてしまった品種が、種子更新していない種子でDNAが変化してしまっていたり、違う品種が混ざってしまったことによる「DNA違反」となってしまった場合、誰が責任を背負う事になるのかという問題で考えてみたい。
DNA違反となった場合、ネットなどで販売したお米は全量回収命令となるので、都道府県の新聞などで告知をしなければならない。全国に告知をするとなると、1回1千万ほどの費用がかかるといわれているが、それを全量回収できるまで繰り返さなければならないのである。
生産者が勝手に栽培して、勝手に販売しているのであれば、全ての責任は生産者個人が背負う事になり、結果として自己破産という結末で終わると思えるが、もしもJAが等級検査をしていたとしたら、JAの管理責任も出てきてしまう場合がある。
そうなってしまった場合、JAが受ける被害だけでなく、組合員が受ける風評被害などについても責任が出てくるし、もしそれが、県のブランド品種であったり、地域が大切にしているブランド米だったとしたら、賠償問題にまで発展する可能性もある。
今はSNS情報社会の時代であるため、1つのミスであっても、瞬間的に全国に広がってしまい、その拡散を止めることは出来ないことから、時間をかけて作ってきたブランドが一瞬で壊れてしまう事も多々あるが、どんな理由であっても、一度壊れたブランドが復活することは出来ていない。
そうなってしまった場合、JAの存続すら危なくなってしまい、もしも潰れてしまった場合、産地の農産物を管理できるシステムが無くなってしまう事から、産地消滅という事態に追い込まれる可能性もあるのである。
それを避けるために、組合員ではない生産者のお米の検査と、自分で売ろうとして売り切れなかったお米の買取等をしないという通知をしたJAも出てきた。
これについて、生産者から不公平だと異論が出ていたが、一般的な会社組織であれば、個人よりも組織を守るというのが当然のことであって、JAの体質の方が時代に合っていなかったのである。
次の時代、自分1人でやっていくというのであれば、それはそれで構わないと思うが、それであるのなら、いかなる場合においても、地域やJAの協力は得られないと考え、割り切ってもらいたいと思う。


時代が変わり、消費地が見ているのは、個人生産者ではなく、担い手が増える、シッカリとしたブランドを大切に守り育てている産地だけである。


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情報掲載:2018年2月15日



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