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消費地レポート 西日本新聞社編集委員 佐藤弘 氏

第107回

西日本新聞社編集委員 佐藤弘 氏

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【佐藤弘 氏 プロフィール】

 1961年生まれ。福岡市出身。中学時代、有吉佐和子の「複合汚染」を読み、ふるさとの野山がおかされていくわけを知る。百姓を志し、東京農大農業拓殖学科に進学するも、深遠なる「農」の世界に触れ、実践者となることを断念。側面から支援する側に回ろうと西日本新聞社に入社。システム開発部、日田支局、経済部、編集企画委員会、生活特報部などを経て、前原支局勤務。2015年~17年、「あおもり食命人」事業に関わる。



〜医は食に、食は農に、農は自然に学べ〜

 私が所属する西日本新聞の発行エリアは九州で、本社は福岡市。なので青森の食といえば、リンゴやホタテ、長芋程度の認識しかなかったのですが、5年ほど前、私が企画した「食卓の向こう側」という連載をご縁に、講演やシンポジウムで呼んでいただくうち、この地の豊かな恵みを堪能させてもらいました。


 私の専門は農業。自称〝記者百姓〟として、現場の新たな動きを書いてきたつもりでしたが、書いても書いても読者には伝わらないというのが実感でした。
  理由は簡単。それは農家人口が減ったから。昔なら米価がいくらになるかは国民の関心事だったのですが、今やそこに関心を寄せるのは業界関係者のみ。ふつーの人にはもう関係ない。「日本のコメは高いから、アメリカから買えばいいじゃん」「食料が足りなきゃ、海外から輸入すればいいしねー」。まあそんなところでしょうか。
 (厳密にいえば結構例外も少なくないのですが)農業は、食料を生産するだけの産業ではありません。ある意味、農業を守ることは地域の暮らしを守ること。だから、「日本の農業を守る」ことは、当然の話だと私は思うのですが、問題はそのアプローチの仕方。農業関係者が「農が大事」と1万回叫んでも、世の中は変わらない。だって、関係者なのですから。車メーカーのセールスマンが「うちの車が一番です」と言うのを、素直に納得できないのと同じことです。
 逆に言えば、そうでない立場からの発言には、説得力があるということ。どうしたら、農業記事を通じて社会を動かせるか。つらつら考えるうちに見つけた一筋の光が「食」でした。
 クイズを出しましょう。農家人口は国民の3%未満ですが、さて食の関係者は何%いるのでしょうか?
 食品メーカーや外食、栄養士、調理員…。
 20%? いや30%?。じゃあ残りの人は、食べないんですかね?
 答えは100%。業として携わる人だけじゃないんです。食べずに生きられる人がいない以上、全員が関係者。そして、その向こう側には「農」がある。

 

竹熊宜孝先生の色紙
(「食卓の向こう側コミック」より)
シリーズ100万部を突破した食卓の向こう側

  「医は食に、食は農に、農は自然に学べ」。これは、熊本・公立菊池養生園診療所で、ドクターとして患者を診ながら、自ら畑を耕してきた竹熊宜孝医師の言葉です。
 その意味するところは、医者がどんなに頑張っても、患者の食および食習慣が変わらなければ、病気は治らない。その食は、健全な農があってこそ。そして健全な農は、きれいな水、空気、土、光といった自然(環境)から成り立つ。ゆえに、医、食、農、環境を一体のものとして考えようというもの。
 これを青森に引きつけて考えれば、青森の健全な土でできた、健全な農産物を多くの人に食べてもらうことで、食べた人も、作った人も元気になるということ。その効果は、風邪をひく人が減った、生き物が増えた、病院に通う人が減った、処理する生ごみの量が減った、手を合わせてから食べる人が増えたなど、農産物の売り上げだけで計る必要はないし、計るべきでもない。要は皆が幸福になるよう、人を地域を元気になることが、何より勝ることですから。

 

 そのためには、まず農に携わる人が、食について勉強せんといかんと、私は思うのです。もちろん医についても。治療は医療関係者しかできませんが、予防は誰にだってできるのですから。
 だから農に携わる人は、教育や健康、保健、環境など、さまざまな分野に関心を持ち、農につなぐ方策を考えねばならない。それを行政として、形にしていくのが、経済活動を通じて社会に寄与する「青森県総合販売戦略課」のミッションの一つではないかと考えるのですが、いかがでしょうかね。

 

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情報掲載:2017年6月15日



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