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消費地レポート 〜下北アピオスを地域の活性化へ〜

第102回

下北アピオス振興会 会長 
河野 紹視 氏

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【河野 紹視 氏 プロフィール】

  1. 駒澤大学文学部地理学科卒
  2. 青森市に本社がある百貨店に長年勤務
  3. 商品バイヤーや営業企画勤務を経て50才で退職
  4. 故郷の下北半島に帰り農業事業を目指す
  5. 平成25年、青森県下北地域県民局とともに農作物「アピオス」の 事業を開始。同時に「河野商店」開業
  6. 平成26年、地域の生産者や飲食店、料理研究者等で結成する 「下北アピオス振興会」を設立、会長としてアピオスの栽培、販路拡大や 地域活動を積極的に実施し現在に至る。

 下北半島は中山間地帯が多く、農業振興の観点からは経営耕作面積を拡大しにくいデメリットを抱えます。むつ市と青森市の面積は863.79平方㎞と824.54平方㎞でありむつ市がやや大きいですが、耕地面積では3,470haと8,790haと実に4割未満です。また、農産物も素材出荷が中心で、加工施設の集積も無いため、付加価値化が難しく収益は低い状況にあります。
  近年、急速に進む高齢化とこれに伴う後継者難により耕地面積、耕地利用率が共に低下、特に耕作放棄地率は、全国平均10.5%をはるかに上回る45.7%(農林水産省調べ 平成22年)と危機的状況にあります。
  加えて、自然に恵まれる反面、保護されて来た指定天然記念物の「ニホンザル」や「ニホンカモシカ」等による農産物の食害もあり、後継者の栽培意欲維持向上に水を差している面が否めません。

 そんな中、平成24年から青森県下北地域県民局をはじめとする関係機関の指導により「アピオス栽培」が推進されてきました。
  アピオスは生では猿も食べず、土地を選ばない利点があります。
  下北産アピオスの取組は、下北農業の抱える耕地面積の狭さ、食害に対応した農業の推進という課題克服型の取組として始まりました。
  取組はじめは7aに過ぎなかったアピオス作付面積は、平成28年現在では300aを超えるまでに増加し、収量は上北郡に及びませんが県内1、2の作付面積にまで増加しております。


  アピオスの生産量は、県全体では約45tと、他の基幹作物と比較すれば小規模ではありますが、生産量は日本一の地位にあります。
 これは、平成5年より県職員が中心となり普及を続けてきたことが背景にあり、20年超の栽培技術が投下されてきたことによります。
  それら20年のアピオス栽培技術が下北地域県民局で実施された「まさかりアピオス産地づくり事業」(平成24~25年度)により、下北地域に反映され、半島全域で4年間で急速に栽培面積が増加したものです。
  生産者の期待も高く、平成25年2月には、下北地域県民局主催により下北アピオスフォーラムが開催され約60名が集いました。
  そして、これが母体となり27名(うち24名が農家)によって、平成26年1月に下北アピオス振興会が設立したものです。
  これまで、七戸町や五戸町で盛んだったアピオスの作付減少に伴い、全国生産量1位を誇る青森県産としても下北半島でのアピオス栽培に期待が高まっております。
 

 一方で、現在のアピオスの抱える課題として、「規格化」ができていないことがあります。
  一つは素材の規格です。上北郡、三戸郡とここ下北郡とではそれぞれにサイズや重量で選別されるSS~LLまでの5段階の規格がまちまちです。
  もうひとつは、糖度や成分など付加価値となる基準の規格です。
  これらのうち、可能な範囲での規格化を進め、優良品として認定する制度、販売時のブランドポリシーの設定が必要と考えます。
  下北アピオスは、障がいを持つ方の働く場の創出「農福連携」も行っており、地域を少しでも元気にして行きたいと考えておりますが、継続した産業として成長してく上では、これらの規格化とそれを審査する機関の設置によるブランド化を同時に進めていく必要があります。
  この規格化、ブランド化を試験的に進めてみたいと考えます。
  ブランドポリシー商品として「下北アピオス振興会認定商品」を設定し、それら定めた内容をメディア等を介してPRし、首都圏等での展示会などで販売促進することで、成長過程にある「下北アピオス」に一層の加速感を出してまいります。

 

アピオスの特徴と下北アピオスの特徴


1:アピオスの特徴

アピオスはマメ科の植物であり病害虫が少ないため農薬を一切使用しておらず、人体にも安心な作物。カロリー、たんぱく質、炭水化物、食物繊維、カルシウム、鉄等の含有量はイモ類と比較し段違いで多く含まれます。朝鮮人参の主成分であるサポニンなど肥満等に効果が認められる成分も多く含んでおり、大豆とは異なるイソフラボンも含まれます。また、県立保健大岩井邦久教授の研究などから血圧降下作用が認められているなど様々な体調不良を軽減できる「健康によいイモ」として学校給食などにも使用されておりま す。


2:下北アピオスの特徴

 上記した耕地面積や食害対策としてだけではなく、下北半島は原産地である北米とほぼ同緯度にあり、寒暖の差が大きく栽培においての適地適作としても期待されています。
  最大の特徴は11月頃の収獲後、独自の「寒ざらし」技術により従来より高い糖度を更に向上させることに成功していることにあり、ブリックスで30度を超えるものも多くございます。下北産アピオスの平均糖度は、約27度であり、他地域における出荷基準の糖度15度以上と比較しても優位性があります。

 他の数千トン収穫できるような基幹作物と異なり、下北アピオスは数トンであります。今後の成長は計り知れませんが、現状では経済規模も小さく、これに伴い事務機能も高くはありません。このため、高コストや複雑な規格化は避け、一目瞭然の分かりやすい規格化が必要と考えます。
 取り組みを始めまだ3年余りですが、健康ブームに乗り栄養価満点の下北アピオスとして現在首都圏を中心に展開いたしております。ブランド化に向けては地域一体となった活動が必要であり地元のイベント等を通じてPR活動は欠かせません。現在では飲食店、レストラン、直売所等協力的に販売活動を行っております。

アピオス事業を行うことにより、地域経済に少しでもお役に立てればと思っております。




情報掲載:2016年8月15日



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